立場
「タウに応援されるの、嬉しくて凄く頑張れるの!」

今しがた親衛隊を強制解散させたところだぞ?
それに独占とは少し離れてしまっている…

「あ、でも親衛隊って何?ファンクラブみたいな感じかな?」
「あぁ、まぁそうだ。君のためなら死んでもいいって言う過激ファンの集まりだ。」
「へ…!?そ、そんなにも熱狂的だとは思ってなかった…」
「君が唯一な存在だからな…リシャ嬢は正式にシュネル様の婚約者として知り渡っているが、私達はそうじゃない。」
「…隊員さん達の事が嫌いってわけじゃないけど…」
「公表していない限り、君に言い寄る兵は現れる。普段から近衛兵として顔を合わせていない兵なら尚更。」
「うん………」
「君がいくら私だけを見ていても駄目なんだぞ………、…何を…」
「いつも守ってくれてたんだよね…?ごめんね…いっぱい心配かけちゃって…」

チュッと音を鳴らしながら、手のひらにキスをした。
申し訳なさそうにこちらを見上げる姿。
そんな顔をされては、責めたくてもやりづらいじゃないか…

「本当に心配ばかりだ…!」
「ごめんね……気をつけるよ…」
「私から離れたら駄目だぞ。」
「うん…」

何度もキスが降り落ちる。
さっきまでの私は凄く能天気な事を言ってたんだ…
そりゃあ怒っちゃうよね…
私だって、他の女の子から蔑ろにされて取られちゃうの嫌だもん…
さっきの人も言い方からして、ただの上司だって思ってる感じだった…
タウの性格上、ちょっと心配性でシュネル様と同じように扱ってる位の認識だろう。
そんな、シュネル様にも過保護だけど、私になんて、もーっと過保護なのに。
それにやきもち妬きさん。

「そろそろお仕事に戻らないとだね…」
「そうだな…シュネル様にはまたからかわれるかもしれないが。」
「でも、いつも見守ってくださってるし、ニコニコしてるシュネル様を見れるから!」
「あぁ、調子が良さそうな姿が一番だな。」
「今日も頑張ろうね。」

ニコッと笑う手を握って、大広間へと戻る。
今後もこういった問題が起こらないとは言いきれない。
無自覚に惹き寄せる愛嬌が、仇となるなんてな…
ますます気を緩ませる事ができない。
私が傍にいれば、大抵はその温度差に身を引いてもらえると思うんだが…

「また今度…タウだけのアイドルになってみようかなっ。」
「…!!」
「楽しみにしててね…?」
「あ、あぁ!もちろんだ!」
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