わだかまり
昼休憩、食堂へと向かい、隣同士に座る。
給食をモリモリと食べている横腹をつついてみる。
少し迷惑そうな顔をしながらも、こっちを見た。

「僕もね、てっきりミコが恥ずかしがりなのかと思ってたんだ。」
「……?」
「だけど、そうじゃなかったよ。タイウィン、もう少し自分の立場を考えた方が良いんじゃないかな。」
「私の立場、ですか…」
「そしたら、ミコも泣くことなかったのに。」
「…!!!」

大号泣してしまった彼女を宥めるの、結構苦労したんだぞ?
タイウィンにも苦労してもらわないと、気がすまないね。
自分がどれ程大きな見落としをしているのか、にも気づいていないなんて。
何でもやってのけてしまうものだから、少し意外というか…
こっち方面は案外鈍かったりして?
だけど、早く気づいてもらわないと、ミコが可哀想だ。

「ミコを見るのも大事だよ。だけど、自分の事も省みないと、見限りをつけられちゃうよ?」
「…………」
「頼んだよ、ミコを幸せにするのは君なんだから。」
「はい…」

まさかミコが私にではなく、シュネル様に泣きついたとは…
よっぽど私には言えない気持ちなのだろうか。
考えて…考えても、見当がつかない。
私もあれを見れば、何か分かるだろうか。
今日の給食は喉を通りにくい。
思い詰めていると、また仕事に影響を及ぼすというのに…
仕事は仕事、彼女の事は仕事が終わってから、じっくりと時間を費やす方がいい。
一旦は目の前の事だけを考えるんだ……


「お疲れ様、タウ。」
「あぁ…お疲れ様、ミコ。」
「…ずいぶんお疲れみたいだね?今日は私がマッサージしてあげよっか?」
「いや、良い。それよりこっちに来てくれないか。」
「…?うん…」

不思議そうに近づき、足の間に座った彼女を抱きしめる。
集中しようとしても、振り切れないまま一日を過ごしてしまい、酷く疲れてしまった。
風呂上がりの甘い匂いのする首に顔を擦り寄せる。
擽ったそうに身を竦めながらも、手に持っていた雑誌を広げた。

「……ね、タウ…なら、どれを選ぶ…?」
「ん………そうだな…………これ…とか。」
「そっか……タウは私にドレス着てほしい?」
「見れるのなら、見たい。」
「…見れるなら、か…」

純白の花嫁達が並ぶページを静かに見つめる。
お互い、何も言わずに…
君がここにある物を着たら、とても綺麗だろうな…
着せるには……あぁ、そうだ、まだこの言葉を出してなかったな。
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