待ちわびた
「……結婚、しようか…」
「…!!」
「まだドレスは無理かもしれない…だけど、そろそろ考えてみたい。」
「…っ……、…!」
「わ………どうして泣いてるんだ?ち、違うかったか?」
「ううん!ずっと待ってたよ…!だからっ、嬉しくて…!」
「…そうだったんだな……すまない、気づけなくて。」
「良いよっ、でも、もう一回聞きたい…」
「あぁ、ミコ。私と結婚してくれるか?」
「うんっ、したいっ。タウのお嫁さんになる…!」

ぎゅっと抱きついた体を抱きしめる。
そういえば、そうだったな。
私も君も結婚は絶対にするものだとは思っていただろうが…
言葉にしなくては、タイミングが生まれないな。

「ドレスなんて別に着れなくてもいい…ただ…全然、言ってくれなくて……もしかしたら夫婦になるつもりはないのかなって…」
「そんな訳が無いだろう!君を愛しているからこそ、我慢なんてさせたくない。」
「…!我慢、なんて……」
「でも指輪は用意してあげられるぞ…ずっと貯めているから、挙式だって上げられる位には。」
「す、すごいね…!いつの間に!」
「ここに来てから、給料はほぼ全額使わずに置いていたんだ。君と結ばれる日を夢見て。」
「そ、そうだったんだ…タウには自信しかなかったんだねっ。」
「そうだな、君も私の事が好きだという確信しかなかったな。」
「えっ、な、なんで…?」
「もしも兄と慕ったり、ただの友達ならば、私が触って照れることなんてないだろう?」
「うぅ…バレてたの…?恥ずかしいなぁ…」

赤くなった顔を隠すように胸元に擦り寄る。
そんな様子が可愛くて堪らない。
私は君に対する好意を隠したりなどしていなかったつもりだ。
だけどミコは隠していたつもりだったんだな。
その隠す態度が可愛くて、私の事が好きなのも丸わかりだったのに。

「可愛いな……ずっと昔から好きだぞ。」
「うぅ………わたしも…!!」
「籍を入れる時はシュネル様とローマンに報告しようか。」
「へ…?で、でも……あの二人が知ってたとしても、やっぱり恥ずかしい…」
「そうか?でもあの二人も『まだか?』って、待ちわびてるんだぞ?」
「えっ!どうして…っ!シュネル様なんて、ご自分の事もあるのに!」
「気になるんだろうな、私はシュネル様の友人だから。私達がシュネル様とリシャ嬢の幸せを願うように、シュネル様も私達を思ってくださっている。」
「……そう、だよね…それに相談までしちゃったし…」
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