誓いを
閉城時間もとうに過ぎ、隊員達もいなくなった静かな謁見の間。
月明かりが入る窓の前に四人集まる。
籍を入れると報告した私達へシュネル様からの計らいだ。
一度部屋に戻って、用意していた小箱を持ち出してきた。
シュネル様に促され、ミコと向かい合う。

「まず…タイウィン、ミコ。婚姻おめでとう。」
「おめでとうっ!めでたいねぇ!」
「ありがとう。」
「シュネル様っ、こ、声が大きいですっ。」
「どんな困難にも二人で立ち向かい、幸福を分かち合う運命を受け入れる決心は出来ているな?」
「あぁ、もちろんだ。」
「はいっ。」
「じゃあ、さっそく、指輪を…!」

ペアリングの箱を開ければ、二色の輝きが光る。
ミコに贈る指輪を持って跪き、そっと出された左手を掬う。
指輪は薬指を滑らかに通り、ピッタリと嵌った。
嵌めたままでも仕事が出来るように鉱石のないリングを。
しかし、世界に一つだけのデザインが施された物。

「ほら、ミコもタイウィンに嵌めてやりな。」
「色が少しだけ違うの凄いね…」
「君のは少し黄色っぽいんだ、私のは青色がかっている。」
「じゃあ…嵌めるね…?」

手袋を脱いだ手を差し出せば、そっと掴まれた。
そして、ゆっくりと指輪を通していく。
嵌ったのを確認すれば、顔を上げて、目が合う。

「誓いのキスもやっておくかい?どう?」
「お前がはしゃぐな…どうするんだ?」
「し、しますっ!したいですっ…!」

緊張しながらも閉ざされた瞳。
肩に手を置いて、小さな背丈に近づく。
触れるだけの、思いを込めたキスを。

「おめでとうっ、やっと、やっとだねぇ。」
「本当にな。お前らにはとことん焦らされた。」
「シュネル様、ローマン、このような機会を設けていただき、感謝します。」
「見てください!シュネル様もローマンさんも、ほら!この指輪、凄いですよ!」
「あぁ、綺麗だな。特注品か?」
「そうだ、唯一の物を贈りたかったからな。」
「タウ、本当にありがとう…夢が叶ったよ。」
「私も、夢を叶えられた…君と契りを交わす夢を。」

月光に照らされ、手を握って見つめ合う姿。
幸せそうな二人を見れて、僕も大満足だ。
タイウィンとミコには、ずっと幸せでいてもらたい。

「もう結婚式までしちゃった気分…とっても幸せ…」
「そんな…ドレスを着た君の姿も見てみたいのに…」
「ミコはタイウィンのタキシード姿に興味はないのか?」
「…!!!あ、ある!」
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