に"…
「他の方法は分からないが…それに気を払わなければ、一日でなくなるはずだ。」
「気にすればする程、長引くってことですか…?」
「まぁ、つまりはそうだ。」
「そんなの難しすぎますよぅ…」
「そうだな、気にするなは難しいか…なら、ペットが欲しい気持ちさえ持ってなければ大丈夫だろう。」
「それなら…!」

帽子さえあれば良かったけど、持ってないし、仕方なくそのまま仕事へと向かう。
シュネル様はともかく他の人に見られるのは凄く恥ずかしい…
今日はどうか静かな一日でありますように!


シュネル様が王の間にやってくるまで、内心ドキドキが止まらない。
私なんかにこんな可愛い猫耳を生やされてもなぁ…
尻尾もスカートの後ろ裾が長くても、勝手に動いて隠れてくれないし。
時たま『な行』が『にゃ行』になってしまっているし…
頭をくしゃりと撫でる手がいつもより心地よく感じた。

「今日だけの辛抱だろうから、我慢してくれ…」
「うん……ねぇ、タイウィンさま、こんな姿笑われないかな…?」
「笑うどころか…持ち帰りたい、かな。」
「へぇっ…!?そ、そんなに不格好!?」
「な、何を言ってるんだ。可愛い子は閉まっておけ、だぞ。」
「う……うぅ……」
「こんなに愛らしい猫…誰かに拐われてしまいそうで怖いな…」
「にゃ……た、タウだけだよ…そんな事思うのは…」

飾らない本心を聞かされて、一層ドキドキが酷くなる。
と、シュネル様の明るい声がすぐ近くまで聞こえてきた。

「やぁ、おはよう!タイウィン……え?ミコ…?」
「おはようございます、シュネル様。彼女の事はこちらに来てから…」
「うんうん…」

声を大にして言えない事なので、耳打ちを促すと、早足で王座へと座る。
面白い事を見つけて、目が輝いている。
事の始まりを話すと、少し悩む素振りを見せた。

「うーーん…なら、外回りはやめておこうか。書類も溜まってはいるから、いっそ片付けてしまう?」
「お、お気遣いありがとうございますっ。」
「いやいや、こんな可愛い子を外に出すなんて…僕は絶対に嫌だね!」
「私も、それは避けたいと思っておりました。」
「ねぇねぇ、少し触ってもいいかな?」
「へっ!?す、少しだけなら……」

シュネル様のなでなでも好きだし…
目の前に立ったシュネル様が、優しく耳を撫でる。
ちょっとこそばゆいかも…
でも、触ってもらうの気持ちいい…
耳を堪能した後は、後ろを覗き込んで動く尻尾を確認された。
これは恥ずかしくて堪らない…
気持ちと連動するように、尻尾が足に巻き付く感触がした。
3/6
prev  next