にゃんにゃん
可愛く啼く猫なミコを堪能し、いい思い出となった。
翌朝も定刻に目覚め、朝練に向かう身支度をする。
目を覚ますのに洗面台へと向かって、水を何度か被る。
早朝から日の当たりも悪くなく、気持ちよく朝のセットをこなした。


部屋へと戻ってシャワーを浴びる。
と、頭を触っている時に違和感を感じた。
何かが飛び出ている…
そう、この感触は…まるで……猫耳。
湯を浴びながらも冷や汗が吹き出る。
恐る恐る尻の辺りを触ると細長い物が…
慌てて汗を洗い流し、風呂場を飛び出る。
洗面鏡を見れば、しっかりと自分の頭にも髪と同じ色の猫耳があった。
もしや、今日目覚めた時からあったのでは…?
ミコも寝ている間に生やしたのだから…
わ、私はこんな姿のまま外へ出ていってしまったのか!?
誰もいない時間に鍛錬する癖をつけていて、助かったと言うべきか…

しかし、この姿を見ればミコは間違いなく面白がるだろう。
シュネル様も見逃してくださるわけがない。
あぁ…どうするべきか……
そもそも何故、私にまで生えることになったんだ?
元手はミコの魔法が失敗してのことだろう?
触ったからといって、何故移らねばならないんだ…
ベッドの縁に座って、ただただ項垂れる。
と、ピピピピッと目覚ましが鳴る。
あぁ、ミコが起きてしまった…
背中越しにもぞもぞと動く感触が伝わる。

「……おはよ…たう…」
「…おはよう。」
「………ん〜…ッッ……はぁ……、…?朝からどうしたの?」
「いや…それが……その……」
「………あーっ!タウにも猫耳生えちゃってる!」
「こ、声が大きい!」
「ごめんっ。えへへ、かわいい!綺麗なお耳だねっ。」
「私なんかに生えても、何も可愛くはないだろう……ん?ミコもまだ治ってないな?」
「えっ!?え〜〜〜っ………尻尾はないのに…?」
「尻尾はなくなったのか?耳だけが残ったみたいだな。」

感情と合わせて動く耳の存在。
ミコもまだ治っていないのならば、二人揃って耳生やしということか…
ますますシュネル様が喜びそうなシチュエーションだ…
気を病んでいても、フニフニと耳を触る手が止まらない。

「ミコ?」
「う…だって……」
「私はもう思い切って素知らぬ顔を貫き通す。普段通りにしていれば、面と向かって言う人もいないだろう…」
「タウはそうかもしれないけど、私は!」
「今日はもう外回りするしかないって分かってるだろう?」
「うにゃぁぁ…!」
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