にゃっ!
王の間でシュネル様の登庁を待機する。
ここに立てるまで冷ややかな目や声を浴び続けてきたから、耐性はあると思いたい。
ミコは不安そうにチラチラと覗き見ている。
シュネル様の陽気なお声が近づいてきた。

「おはよう、タイウィ…ン!?」
「おはようございます、シュネル様。」
「お、おはようございます!シュネル様!」
「え……えっと……え?……ん?」
「俺を見るな…見間違いじゃないから。」
「だ、だよね?猫が増えたよね?」
「シュネル様っ!しーっ!」
「うーん………まぁ、何で移ってるのかは聞かないでおくよ。」

と仰りながらも、表情は隠しきれていない。
『あ〜もう!昨夜もにゃんにゃんしたんだねぇ!』
なんて声が、頭の中で流れる位には、輝かしい笑顔をしている。
そんなシュネル様の隣ではローマンが頭を抱えている。
すまない…迷惑をかけて…節操なしだと思ってもいい…

「ミコも治ってないけど、どうする?今日はもう城内の仕事ないよ?」
「私は構いません。護衛騎士である限り、対談の場には立たないので。」
「わ、私ももう良いです!このまま行きますっ!」
「そう…?嫌になったらすぐに言ってね?」
「大丈夫ですっ。タイウィンさまも我慢するのに、我儘なんて言えません!」
「分かったよ………それにしても仲良しだよね。仲良しは良い事だよ!」

言わずにはいられなかったようだ。
訪ね先の確認をして、早速少数の兵を集める。
兵達が私を見て動揺したが、それもすぐに収まった。
出発をして隣に立つミコは、顔を真っ赤にさせていた。
やはり耐えられないんじゃないのか…?
ただでさえ猫耳で可愛らしさが倍増しているのに、そんな様子ではますます煽るだけだぞ…
頑張って着いてくる様子は大した物だが、時にそれが仇になっている。
休みをもぎ取っても良かったのだが…それはミコが嫌がるだろうな。
休みなら私も一緒に貰ってこないと、凄く怒るからな…
対談は順調に進み、だんだん平常心を保てるようになっていた。

「お疲れ、これで最後だったよね?」
「はいっ!シュネル様もお疲れ様です。」
「その耳、タイウィンもミコも明日こそは治ると良いね。」
「……善処します。」
「楽しむのも程々にな。」

部屋へと戻ってくれば、早速ミコが私の耳を触りたおす。
自分の方が先に生やしたくせに…
結局我慢できずに襲ってしまった。
翌朝目覚めれば、めでたく治ってシュネル様は不満そうな顔をしていたが。
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