与えられるものを
動機が何であれ、我の物に手を出した罰は重いのだ。
すぐさまに犯人を突き止めさせれば、誇らしげに語る男がすぐに現れた。
そやつを木に縛り上げ、同じように顔を幾度も殴った。
殴る度に骨が折れ、原型を留めていない顔のまま許しを乞う姿は、吐き気がするものだ。
ミコは幼い体で、こやつから一方的な攻撃を受けたのだ。
顔だけで済ますのは、まだまだ足りんな。
あぁ、気に入っていた表情を崩したのだ。
こやつに原型を留めさせる事を許してなるものか。
気がつけば腕も足も首もへし折れ、いつの間にか息絶えていた。
見苦しい、こやつの存在すらも抹消するべきだな。
火を焚かせて、縛り付けた木ごと放り込む。
ミコを一人で行かせる事を許したあやつにも罰が必要だな。
呼びつけてやれば、飛んで出てきたその腹を死なない程度に殴る。
気は全く晴れていないが、起伏は収まった。

「……ミコ……ミコ…」
「アレンシノクス、その体を渡せ。」
「モルテリクス…どうしてこのような事に…!」
「フククッ…我がミコに構いすぎたからと言うのだ。」
「何じゃと…?たったそれだけでか…?!」
「そなたは前に我が大人しくなったと言ったな?」
「そうじゃな…無闇に同族を殺さなくなって、少しばかり安堵しておった…」
「確かに殺戮の機会は減らした。ミコが血の臭いを嫌うものでな。」
「…!やはりそうだったのだな…!」
「しかし、何故それを虫けら共に咎められねばならない?そして、ミコに罪を与えられねばならないのだ?」
「それは………主を変えた要因だからであろう…」
「つまらぬな、虫けらが考えることは。力だけでなく知能すらも見るに耐えん。」
「…今はミコに構ってやるのじゃ…きっと寂しかったはずじゃ…」

我の求める表情はもうないが、そこにあった存在はまだ我の知っている物。
そなたが喜ぶのであれば、声明発表だけでも娶ることにしても良かったのだがな。
そうすれば退屈しのぎがずっと傍にあったというものだ。
ミコがいなければ、またつまらぬ日々か…
以前の我はどのように過ごしていただろうか?
それ程長いものではないはずだが…すっかり忘れる程慣れてしまっていたか…
もう少しばかり、そなたを眺めるのも悪くない。
この体を手放すまで、そなたが喜んだであろう事をしてやるのだ。
それはたくさんあるだろうから、思い出すまでの時間は裕にあるだろう。
12/12
prev  next