時を共に
!ヤンデレな近衛隊長

ミコとは生まれた家が近く、同じ位の歳ともあり、幼い頃から一緒だった。
貧しい暮らしに耐える為に、二人で励ましあったり…
まだ少し幼いミコの代わりに、食べられそうな物を見分けたり…
私が守ってやらねばならないと、日を重ねる毎に強く思っていた。
そしてシュネル様と出会って、人生が変わった時、自分だけでなくミコにも救いの手は分け与えられた。
二人で一瞬であの苦しい暮らしに終わりを告げたのだ。
そうして私はシュネル様の護衛騎士に。
ミコは右腕になる為に、互いに独学を積み重ねた。
剣を持って戦うにはまだ早かったが、諦める事は考えもしなかった。
ローマンからずっと素振りをする私に、似た者同士だと笑われた時もあった。
同じ様にミコも毎日、夜通し勉強していたらしい。
部屋が分かれていて、中に籠っていると何をしているかを知りえない私にとって励ましとなった。
ミコも頑張っているのだから、負けられない。
いや、ミコよりも努力を積み重ねばならない。
そうして鍛錬に鍛錬を重ね、闘技で優勝したあの日。
シュネル様も、ローマンも私が守護騎士に…
近衛隊長という役目が確定した時点で、ミコも引き受けられる要素を用意していた。
こんなにも恵まれた人生が来るとは、本当に思わなかった。
そうしてそんな間柄の私達には絆も生まれていた。
そして、私は……

「…と、今日の予定はこれで良いでしょうか?」
「はぁ……腰が重いなぁ。」
「シュネル様、頑張ってくださいっ。頑張ったら数週間は会わずに済みますから!」
「おっ、本当かい!なら、澱みなく終わらせないといけないね!」

締め付けられがちな王城を明るくする笑顔。
元気を与えながらも、心地よい声。
自然体ながらも愛嬌のある素振り。
シュネル様の秘書となったミコに、特別な想いを持っている。
ここにいる限り、私一人だけが守るなんて事はなくなったが…
それでも一番近くで危険から守ってやる立場だ。
幼い頃は妹のような位置で、大切な存在だったが、今は違う。
それは恋へと変わり、愛おしい存在である。
目が合うと、にこりと笑う姿に甘く痺れる。
今日も可愛いな、私の幼馴染は。
笑顔も嬉しいが、もっと話もしたい。
触れて、独り占めしたい。
可愛い、可愛いミコ。
君も私に恋をしてくれていると嬉しい。
会議をしている間は一緒に外で待つだろう?
その間くらい、話をしないか?
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