予定
自分への枷として、生き物も水もどうにか生きていける程にしかない地下牢で過ごしていた…
そんな私に、外の世界で、自らの手で償う機会を与えられて…
こんな私がまた国の為に働くなんて…
でも、これで、私のあの愚かな選択の償いを少しでもできているのなら……

人の為になる魔導の研究に、知らない内に楽しさを見出していた。
この手で人の命を奪ったのに、今度は皆が生きる為に使う…
今回は初めての研究報告…
私の事を認知しているシュネル様とタイウィン様とローマン様…
この三人だけへの報告だけど、私はとても嬉しい。
またあの方達とお話が出来るんだ…!
それも、卑屈していた前とは違って、成果を見せることができる…!
それにお礼もたくさん言いたい…
私の力を利用しようとするわけでもなく…
奴隷のように酷使するわけでもなく…
監獄に閉じ込めるわけでもなく…
普通の魔導師達と同じ環境で、不自由ない生活。
温かいご飯と綺麗な住まいが用意されて、これ以上の優遇なんてないと思う。
そんな気持ちも込めて、研究に熱心にのめり込んだ。
少しでもこの感謝の気持ちで、恩返し出来るといいな…


「本日会う魔導師さんって、どんな方なんですか?」
「エダかい?君ならばレファンドスの歴史を知っているだろうけど…」
「はいっ、エダさんの過去の話はしっかり。そうではなく!外見とか性格とか…」
「うーんと…まぁ見た目は長い黒髪の女性でね、性格は……なんと言うべきかなぁ。」
「……百聞は一見にしかず。君は朝からその話ばかり…」
「ご、ごめんなさいっ。でも私だけ会ったことないから…エダさんも私がいるってこと知ってるんですかね?」
「いや…『僕の周りの人間だけで』やるって言ったから…あちらも僕とタイウィンとローマンだけだと思ってるだろうよ。」
「…ど、ドキドキしちゃいます…お友達になれるかな…」
「………確かに!なるほどね。それは楽しみなわけだ!」

朝からずっと落ち着いていられなくて、予定の時間が待ち遠しい。
エダさんってどんな人なんだろう…!
タイウィンさまからのお話では、少なくとも怖い人ではないみたいだし…
それに新しい女の子のお友達…それもレファンドス内で!
リシャさんと会えなくなってしまった分、もうそんな機会はないと思っていたから、とても嬉しい。
リシャさんともお茶しに行きたいけど、ポリティアに遊びに行くのは、当分厳しそうだし…
それに女の子同士だからこそ、できるお話もある!
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