1.光タイウィン
俺は今にとても満足している。
王国の近衛隊長に就任し、好きな女の肩を抱ける。
俺が近衛隊長になろうと思ったのは、何故だっただろうか?
優越感に浸ってしまったからか、忘れてしまった。
確か……


「ねぇ闘技だって!タウ、腕試しに出てみたら?」
「闘技…?」

ミコが持ってきた知らせに目を通す。
1年後の冬にレファンドス王国の守護騎士を決める大会か…
守護騎士って事は王様を守る近衛隊長ってところか?
確かに今の隊長は大分ガタが来ている。
いいな…これで優勝すれば、ミコに楽な生活を送らせることができるんじゃないのか?
こんな田舎臭い村から城下町に出て、貴族の暮らしは出来ずとも上等な生活にはなるはずだ。

「へぇ、いいな。俺も出るか…」
「応援するよ!目指すは…やっぱり優勝?」
「そうだな、優勝して…やりたいことが出来た。」
「やりたいこと?なになに?」
「ふっ、秘密に決まってるだろ。よし、エントリーするぞ。」

そうだ、これで優勝すればミコだって必ず俺の元へと着いてくるはずだ。
これを機にこの想いを受け取らせるのも悪くない。
拒否権など与えないつもりだ…が…今のままでは踏み切れない。
あぁ…このもどかしい想い…恋ってのは本当に病みたいだな。

「戦うタウの姿、かっこよくて好きだよ。」
「…、…そ、そうか。」

ふわりと柔らかく笑いながら褒めるミコ。
可愛いな、俺の幼馴染は…
この気持ちはいつから芽生えたのかはよく覚えていない。
多分…自立して面倒を見られるようになってからだったか…?
親元を離れて一人暮らしをするのが、ここでは当たり前になっている。
もちろん俺もミコも小屋を建てて、そこに一人で住んでいる。
しかし、俺が料理に対してセンスがないともあり、飯はいつもミコが作っている。
ミコの飯がこれまた美味いのだ。
美味くて、食盛りなのも重なり、どんどん体は丈夫なものへとなっていく。
だが、少し前に
「あまりムキムキな人って好きじゃないんだぁ」
と言っていたのが、ずっと気になっている。
ミコはボディビルダーより、王子様体型が好みらしい。
そうとなると、俺も鍛え方を考えるもので…
『筋肉質ではあるが、細身のままである』。
所謂『脱いだら凄い』というラインを維持している。
だが、とうの本人はそんな事露知らず。
まぁ、俺の事が好きなのは分かっているからな。
でも、それを早くもっと首ったけにしてやりたいものだ。
6/10
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