明朝
ピピピピピピピピッ!

「…ん………はぁ…あぁっっ…!!!仕事ー!!!」
「…!!」
「う"……ぅう……」
「おはよう、ミコ。今日は休みだぞ?」
「…へ…?なんで……あっ、そっか…」
「…ミコ、昨日の事は覚えているか?」
「………………おぼえてる……」
「心配するな…誰も笑いはしない。」

案の定二日酔いしている様子。
更には昨日の事も覚えているようだ。
苦い顔をして、俯いてしまった。
私は昨日の行動で牽制が取れて良かったと思うのだが…
それにバレたとして、何か不利益が生じるのだろうか?

「どうして嫌がるんだ?私達が交際している事を知られようとも、大多数には関係ない話だ…」
「だ、だって……」
「うん?」
「ドジな私が…皆の憧れさんの特別なんて…きっと怒るもん…」
「誰が怒るんだ…?」
「そ、それは!タウのファンの人…とか?」
「君も分かってないだろう?ならば、何の問題があるんだ?」
「………あるもん…」
「…ミコ?」
「だってね…シュネルさまもローマンさんも…昔馴染みだから、にこにこしてくれるけど!…他の人は…違うから…!」
「……誰かに何か言われた事があるのか?」
「…やだ…言わない…」
「言われた事は認めるんだな?気にする必要は無い。気にした所でそれはただの妬みだ。」
「………」
「私と並ぶのは不釣り合いだと言うのならば、私は君との付き合いをやめよう。」
「…?!な、なんで…!やだ…やだよ…」
「堂々としてほしい。君らしい所が好きなんだ。私の事が好きな君が好きなんだ。」
「………うん…」
「それに、私とて君を侮辱するような人に肩を持ったりはしない。悲しませる人は誰であろうと許さない。」
「…うんっ…」

するりと首に腕が回る。
寝起きの温かい体温を感じながら、抱きしめる。
本当は君だって、何も気にせずに普段通り接したいだろう?
私は君の気持ちを尊重して、いくらか我慢している。
…きっと君は私よりもっと我慢しているだろう。
不安に思ったとしても、抱きつくこともできず…必要以上に距離を詰めることもできず…独占することもできず……
街を歩く中で女性からの声援に応えた時の、横からの視線も知っている。
他人を悪く言う様な人は、話すら断りたい。
だが、この王城内では立場が逆なのを忘れたか?
唯一の女官…ただの上下関係と思われている私は、独占したくて堪らないんだぞ!
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