理解
二日酔いが楽になる物を用意し、午前中は休養させた。
しかし退屈なのか、天気が良いからなのか。
どうしても外に出たがっているのを、止めることは出来なかった…
手を繋いで、庭園へと赴いた。
疎らに休日を謳歌する兵もいる。
草っ原にしゃがみこみ、何かを探り始めた。
クローバー探しか、花の冠でも作るつもりなのだろう。
近くのベンチに座って、ゴソゴソと動く背中を見守る。
あぁ、今日は過ごしやすい日だ。

「隊長、お疲れ様です!」
「あぁ、休日を楽しんでいるか?」
「はい!今日はいい日和ですね!隊長も補佐さんと日光浴ですか?」
「うむ……私は引っ張り出されただけだからな…」
「本当に隊長と補佐さんはラブラブですね!昨日のやり取りも良いものでした!」
「良いもの…?」
「はい!お二人の仲睦まじい姿…眼福でしたよ。普段は仕事人なお二人が、あんなにもはしゃぐとは思いませんでしたから。」
「そ、そうか…?…昨日は少し無礼講すぎたかもしれないな…」
「いえいえ!親近感湧きましたよ!」

蹲っていた姿がくるりと振り返って立ち上がった。
私の隣に兵がいるのを見て、気まずそうな顔をしてしまった。
手招きしてやれば、おずおずと近づいてくる。
緊張した面持ちで、握っていた両手を開いた。

「タンポポ見つけたからあげるっ。」
「わ、私にか…?」
「補佐さんは、花が好きなんですか?」
「お花が好きというか…小さい物が好きというか…」
「……ほら、君が付けておくと良い。」
「…………」
「おぉ、黄色もよくお似合いですよ!」

耳横に刺してやれば、顔を真っ赤にさせて俯いてしまった。
人がいるからか、いつもと態度が違う。
馬鹿にされると思っていたらしいが、実際はどうだ?
君が何をしようと、親しみを持ってくれるじゃないか。

「あぁっ、俺はお二人のお邪魔虫ですね!では、この辺りで失礼します!」
「あぁ、いい休日を。」
「………行っちゃった…」
「なぁ、ミコ?何も心配することはないだろう?」
「…うん……あの人も楽しそうだった…」
「仕事中は難しいかもしれないが…自由時間位、したいことをすればいい。」
「うん…タウに甘えたい時も遠慮なく甘えちゃうっ。」

嬉しそうに抱きついた表情に安堵する。
そう、我慢なんてする必要はない。
もし、何か言われたとしても私が守る。
だから、もっと君らしい姿で時間を一緒に過ごさせてくれ。
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