ただの魔法少女です!
だけど、ここから狙い撃つには少し目立ちすぎた。
このまま続けて打てば、先走って加勢される恐れがある。
決してこれは士気上げの為ではなく、彼らに戦わせない為の攻撃。
勘違いされては、意味が無い。
…やっぱり怖い!!(高さ16M)

「失礼を承知で申したい!!どうかその身を現してはいただけないだろうか!!」
「…!!」
「我々は市民を守る兵士であり、仲間を守る為の存在。だから、あなたも守られるべき存在だ!」
「………」
「我々の加勢を許してもらえないだろうか!!共に戦う仲間として、その姿を覚えておきたいのだ!!」
「…………」

心に突き刺さる真剣な音色。
た、タウにそんなこと言われちゃったら…
で、でも加勢は絶対にダメ!!
これだけは譲れない!!
でも私はあんなに大きな声出せない……
…………
えぇーい!!この力信じて!!!!

城壁の上から飛び降りて来たのは、一人の少女。
その姿はとても戦いに向かうには、可憐すぎる。
しかし、その手に持っている弓の強大な力は確かだ。

「ごめんなさい、私一人で戦わせてほしいんです。」
「何を言う!隙があってはいけない!どうか、その身を」
「ダメです!!私は皆さんに傷一つ付けたくないからここに来た!!だから!!動かないで!!」

普段から罵倒などにも動じない精神であると思っていたが…
この少女の言葉は、足を凍りつかせる程の勇ましさがあった。
ぐっと矢を引き絞る姿は美しくも、やはり戦うには小さくて…
ぱっと離した手から放たれた矢は二筋に分かれ、残りの機械を消し去った。
偵察兵からも殲滅の報告の声があがる。
それを聞いた少女は足早に門内へ戻ろうとする。

「待ってくれ!!どうか名前だけでも!!」
「……魔法少女!魔法少女Nとお呼びください!!では、また!!」
「………」
「…魔法少女…?」

魔法少女N、か…
名前を教えるつもりはない、と。
しかし、あの姿は間違いなくレファンドス随一の勇士だった。
「では、また」と、言ったのであれば、また危機に立ち向かってくれるということなのだろうか…

全速力で走って、走って、もう大丈夫と思えば、衣装は儚く解けて消えた。
………
は、恥ずかしすぎるー!!!!
タウに咄嗟で必死だったとは言え、あんな振る舞いを…!!
あんな事したら、タウの事だから絶大な信頼を持ったに違いない!!
どうしよう、どうしよう、どうしよう!!
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