魔法少女の愛の力!
チッ、あの女め…
何が目的かは知らんが、「魔法少女」というものを増やしやがって…
数打っても無意味なのに、集める労力も考えろ!
………
ヴェリアンに言ったとて、それこそ無意味だが…
あらゆる確率の上で成り立っている事象なのだ。
何か大きな意味があることは確かなのだろう。
今日計画された事は、俺にとってはまるでやる気の出ない内容だ。
本当にどんな意味があるのだか…
まぁ、失敗して廃棄されるよりは、淡々とこなした方がマシだ。
さて、女など一ミリも興味はないが、仕方ない。
ポリティアを敵と認識させるための悪の代表になってやるか…


またもや大量の機械兵器が、レファンドスに押し寄せて来ているらしい。
今回は監獄塔のある北側からとのこと。
そして、どうやら魔法対策が敷かれているらしい。
私のこの力は「愛の力」だと言っていた。
魔法ではあるけど、私達が普段使う魔法の意味とは全く違う…
ならば、その対策も効かないのでは?

「昨日だけでなく今日もか…それにレファンドスの事を理解しているみたいだな。」
「しかし、こちらとて我々、近衛兵がいる。相手できないわけではない。」
「それはそうだが…数が知れているんだぞ?圧倒的に不利であるのは変わりない。」
「数で勝てないなら策略で勝つ…だろう?」
「…考えてみる。」

今回は治療班として同行することができた。
問題はいつ変身するか…
急にどこかへ消えてしまえば、怪しまれるに違いない。
………
分かった、治療部隊は前に集中させて、私は後方援護に回ると言えば良いんだ!
弓を扱っているし、普段からそうやって援護兼治療の立場になっている。
よし、これで行こう。

「治療部隊さん、あの数ですから回復が追いつくか分かりません。全力でサポートしてください!」
「かしこまりました!!」
「私は前衛援護に回ります!!後は任せました!」
「補佐殿もお気をつけて!!」

部隊の後ろへ走って建物の影に隠れる。
よし、うまくいった。
握り慣れた弓を抱いて、魔法少女へと変身する。
愛は悪に勝つ!!
皆のことは私が守る!
光の矢を引き絞って、勢いよく放てばずっと遠くまで貫いた。
相手は警戒し、アラートが鳴り防衛体制に入りながら歩みを止めない。
仲間からは歓喜の声が湧き起こった。
さぁ本当にこの魔法が通じるのか…
力の波動で吹き飛ばされそうになりながらも、もう一筋放つ。
防衛体制に入ったにも関わらず、矢は敵を蹴散らした。
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