どこからそんな話が?
今日のミコはいつもに増してドジだ。
よく何も無いところで躓いている。
転んで怪我をしなければ良いが…
不安も残りつつ、城下町を歩き回る。
経過観察とは言え、俺達が直々に回る必要があるのか?
…まぁ…これも王城との距離を、近く感じてもらうためでもあるんだが…
それにしても訪問数が多すぎる。
一気に回らせるつもりなのか…!?
「きゃっっ…!!」
「おっっ……と…大丈夫か?」
「ご、ごめんなさい……助かりました…」
「もう少し気をつけて歩け……タイルの並びが悪いのもあるかもしれんが。」
「タイルの舗装なら簡単ですし、貧民層の人に役割を充てるとか出来そうですよね?」
「確かにそうだな。なかなかいい案を言うじゃないか。」
転びかけて俺に凭れたまま閃くのは、どうなんだろうか?
第三者が見ていたら、誤解されかねんぞ?
「は?どこからそんな噂が出回ったんだ?」
「うーん、僕の方が聞きたいんだよね。君達はいつ抱き合ったの?」
「え?!そんなことしてませんよ!」
「でも噂内容が『レファンドス軍団長と補佐がデキている』って。」
「えぇ…………あ、分かった!今日よく躓いてたから、それのせいかも!」
「あぁ、確かに…転ばないように支えたりしたからな。」
「ふむふむ…じゃあその体勢が抱き合ってるように見えたんだね。にしても迷惑な話だよね。」
「発端を探さないとな…」
「これがタイウィンとだったら、何も困らなかったんだけど…」
「そ、そんな問題じゃないですっ…!」
シュネルがからかうと、途端に顔を赤くさせる。
いつまでも初心な奴だな。
つい、からかいたくなるのも分からなくはない。
だが…この噂の厄介な所は、『何知らない兵士達が信じている』ところだ。
元々俺達の仲がいい事だけを把握している。
そこに俺とミコが抱き合っていた、と聞かされたら疑うことはしないに等しい。
いやいや、それでも少しくらいは…
せめて、そこは俺じゃなくてタイウィンじゃないのか?とか、勘ぐってほしい。
ふと、今朝の夢を思い出した。
…頭が痛みだしてきた。
今日は災難な日だ…
とりあえずデタラメを信じている兵士達を集める。
事情を知っている近衛兵達はもちろん鼻で笑っていたが、ミコの気持ちを汲んで訂正はしなかったらしい。
俺とミコが隣同士に立っているだけで、つまらない話を蒸し返す。
一旦黙るように声を張る。
発表は俺からではなく、ミコに任せる事にした。
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