第一歩
翌日、目を覚ませば見慣れない景色。
…そうだ、シュネル様に…
机の上に置かれた真新しい服に腕を通す。
サイズもピッタリだ。


「おはよう!昨日はよく寝れたかな?」
「すごくふかふかでしたぁ!」
「これから毎日、このような生活が送れるのかと思うと、正直まだ信じられないです。」
「少しずつ慣れてくれたら大丈夫!ご飯食べたら、さっそく図書館へ行くよ!」

シュネル様の後を着いていく時も、ずっと兵士に囲まれている。
そして周りを見る限り、貴族、貴族、貴婦人…
あぁ、緊張しすぎて、うまく歩けているか心配だ。
見慣れない人が多いせいで、ミコがしがみついて離れない。
私だって不安で、怖くて堪らない。
私達が貧民街出身だと知ったら、この人達はどんな風に思うだろう?
一際豪勢で大きな建物に辿り着いた。
開けられた一面装飾された扉を通り抜ければ、一斉に視線が集まる。
シュネル様の後ろにいるせいで、私達が誰なのかと言う声がやまない。
そんな声も気にせずに一直線にどこかへ向かう。

「ローマン!ローマン!!」
「…はぁ…」
「ねぇ!ローマン、これを見てよ!」
「今度は何だよ…またガラクタを」
「こん…にちは。」
「こ……こんにち、は…」
「………人だ。」

黒髪に眼鏡をかけた、物静かそうな男の子が一人、隅で本を読んでいる。
この子がシュネル様の友達なのだろう。
なんと言うか、意外だ。
お互いに自己紹介をして、軽く会話を交わす。
ローマン様も王位継承者で、シュネル様とは実は従兄弟らしい。

「あのね、ミコと一緒に勉強してあげてほしいんだ!」
「この子と、か?文字は書けるのか?」
「ぜんぜん分からないです…」
「困ったな…それに俺達より少し歳下のように見えるな。」
「あ、はい…たうの方が2つ3つお兄さんです…」
「うーむ………まぁ俺もその頃には字が書けたから何とかなるだろう…」
「よろしくね!僕の友達だから、ローマンの友達でもあるんだからね!」
「それは一体、どういう理屈なんだよ…」

困り果てているように見えるが、大丈夫なのだろうか?
物凄く迷惑をかけている気がする。
シュネル様はヘラヘラと笑っているし…
そのままミコをローマン様に預けて、私は剣を渡される。
稽古場を教えてもらって、ここで頑張れ、という話だ。
少し前までこういった刃物を握った事があるから、多分大丈夫だろう。
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