刻苦勉励
実戦を混じえながら実力を着実につけていく。
シュネル様の下で稽古を初めてから、5年は既に経った。
唯一ゆっくりと話のできる飯時に会うたび、君が魅力的に見え始める。
いつからだろうか、こんなにも君を恋しく思い始めたのは。
夜の静かな時間、君はまだ勉強しているのだろうか、君に遅れを取ってはいないだろうか…
切磋琢磨の気持ちが、見えない努力への焦りへと変わる。
もしも剣術大会で結果を残せなかったら…
…君は酷く失望して、私の事など……
そうだ…私は君の事が好きなんだ…
私の隣にいて、頑張り屋さんで、幼さが残る可愛らしい子。
私は、必ず剣術大会で勝利を収め、君への想いを打ち明けよう。
大会で勝てないのならば、その資格すらないという事なんだ。
「俺の部屋から見えるとは言え、間近で見るとやっぱり違うな。」
「あ…ローマン……私の剣術はどう見える?」
「俺には、いつも着いて回る護衛なんかより、お前の方が頼りになりそうに見える。」
「ありがとう、贔屓だったとしても嬉しい。」
「贔屓なんかじゃない。俺はそんな優しい心など持っていない。ただ、初めてお前を見た時、どう思うか、それを伝えただけだ。」
「…少しは自信を持てた。」
「あぁ、お前はもっと胸を張っていい。人に自慢する為の努力ではなく、信念を貫く努力なんだからな。」
「剣術大会まであとどれ位だ?」
「あと1年半だ。春に大会が開かれる。今度の大会、見に行ってみるか?」
「…いや、やめておく。挫折しそうだ。」
「そうか?まぁ、あまり時間も残ってないが、俺は待ってる。じゃあな。」
待ってる、か。
シュネル様の王位継承も確定して、ローマンも次候補の身だ。
私は追いかける身。
この足は追いつける程の距離に付けているのだろうか?
コンコンコン…
「俺だ、入るぞ。」
「はーい……」
「今日も既にこの量をこなしたのか?」
「あ…はい……随分とスラスラ書けるようになれましたよ!」
「…お前の努力も凄まじいな…」
「これ位…ううん、まだまだ足りないと思ってます。」
「さっき、タイウィンの様子を見に行ってきたんだ。」
「えっ、タウの?ど、どんな感じですか?」
「そうだな、並の兵士は軽く超えているな。このままあいつが自分自身を信じれば、大会もいい結果になるだろう。」
「…良かったぁ…なら、私も絶対落とせない!」
また本を片手にペンを握る。
年頃の女の子がしているような手ではない。
似た者同士なのだと、感じた。
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