次は私
「うぅ……やっぱり緊張して、不安で堪らないです!」
「心配するな!あれだけの量を軽く熟すのは、ミコしかいない!」
「ローマンさんん…」
「僕もビックリしたよ、あんなに身のある積まれた本、初めて見たよ。道理で使用人が困るわけだ。」
「私、ちゃんと受かるでしょうか…」
剣術大会より前の冬、ミコの人生の大一番がやってきた。
誰の目から見ても、その努力を疑えないというのに、本人は未だ前を向けないようだ。
皆、君の努力を知っているというのに。
緊張で俯く体を抱きしめる。
「大丈夫、君は強い子だ。先に進んで、私を待っていてくれないか?」
「…タウ……」
「君が待っていてくれるから、私ももっと頑張れるんだ。」
「…うんっ、絶対に受かって、タウが勝つ姿を見るよ!!」
「うん…さぁ、いってらっしゃい。」
笑顔で試験会場へ向かわせる事ができた。
…君の体はあんなにも小さかったのか…?
先程抱きしめた感触を確かめる。
前まで、こんなにも腕の中に収まらなかった気がする。
「どうしたの?」
「いえ……ミコが小さく感じて…」
「それはタイウィンが大きくなったんだよ。僕とローマンより背が高いの気づいてない?」
「そう、だったんですね…」
「初めて会った時はあんなにもヒョロっとしてたのに、今じゃこんなにもしっかりして!」
「まだ頼りないと思ってますが…私もこの春、必ずや勝利を手にします。」
「うん!それから、ミコの手も取るんでしょう?」
「え…っ?そ、それはどういう意味で…?」
「え?てっきり『剣術大会に勝って、ミコに告白する』って言ってるのかと。」
「い、一体いつそんな事を口に漏らしました!?」
「え、さっきだけど?そういう意味の言葉じゃなかったの?私を待ってて、って。」
「純粋に…必ず追いつくから、安心して前に進んでくれ、と…」
「告白はしないの?ミコのこと、好きなの、僕もローマンも知ってるよ?」
「な…!?」
シュネル様が当然の事のように言い放つ。
確かに、確か、に!
この春の大会に勝つことができたら、告白しようとは考えていたが…
私の想いを口に出したことは一度もない。
そんなにも分かりやすい態度だったのだろうか…
熱くなった顔は、まだ赤くなったまま。
「告白は…確かに考えていました…ですが、告白する為に勝つ、ではなく、勝てたら告白する、のです。」
「あくまでも勝利?」
「私は…大会で勝てないのならば、シュネル様の隣にも、ミコの隣にも立つ資格はないと考えています。」
「そっか……でも、大丈夫。僕はその実力を信じてる。だから、タイウィンも自分自身を信じてほしいな。」
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