痴話喧嘩は後で頼む
どう伝えようかと暫く悩んだが、暗く沈む顔がどうにも合わなくてまとまらないまま声をかける。

「それで…タウは何て…?」
「えっと、そう…タイウィンにな、女性のファンが出来たらしいんだ。」
「ファン?…タウは強くてかっこいいもんね…」
「でも、そのファンはミコの事をよく思ってないらしい。」
「タウを独り占めできる、から…?」
「あぁ、だからな…その意地悪い女性達から君を守りたい、だから外に出るのはやめたらしい。」
「…そうだったんですね……ふふ…そうなら、ちゃんと伝えてくれて良かったのに。」
「ファンが出来ることに嫉妬すると思ったのだろう。私だって同じ事を考える。」
「ヤキモチなんてしませんよ。だって、タウがカッコイイのは事実ですし!もっとたくさんの人にタウの素敵な所知ってもらいたいですから…」
「ミコ…!!」
「わ、わぁっ!?タウ!?」

これを聞いていたらタイウィンがどれ程喜ぶだろうか…
そんな言葉を噛み締める間もなく、タイウィンが飛び出てきた。
扉越しに話を聞いていたようだ。

「タウ、ごめんね…でも、ちゃんと話してほしかったな…」
「すまん…ファンの存在を知ったら、お前が傷つくと思ってな…」
「でも、ただのファンなんでしょ?タウは何とも思ってないんだよね…?」
「あぁ、もちろん。まとわりつくあいつらの腕を捻り潰したい位だ。」
「…ん?触られたの…?」
「あぁ、勝手に腕を組んで、デートに付き合えやら。彼女にしろやら…吐き気がする。」
「…………」
「ミコ…?」

明るい表情を見せたことに、ほっとしていたがまた項垂れた。
やはり、触られた事は彼女にとって、ショックな出来事…
心配していれば、私の隣に静かに並ぶ。
そして、腕を組んだ。
いきなりの事に体が跳ねる。

「私、ローマンさんとデートする!」
「っ!?な、何でだ!?そんなに他の女に触られてほしくなかったか?!」
「べつに…触られるのは、構わないけど…タウにもヤキモチ妬いてほしいもん。」
「だ、だからと言って私を選ぶのは…」
「…冗談だけどね。ローマンさんとこうして一緒に出れば、タウは好きに動けるでしょ?」
「まぁ、そうだな…このまま三人で出れば、ミコはローマンの連れでしかない。」
「近くで見てるから…ちゃんとファンの人に説明、しに行かない?離れてたら、何かされる心配もないよね?」
「…確かにな………はぁ…分かった…」
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