3つ目
少し晴れやかな顔をして戻ってきたミコに心が軽くなる。
先程までは本当に暗く沈んだ表情をしていたから、いい時間を過ごせたのだろう。
少し後に戻ってきたセシリアさんが私を手招きする。
少し近寄り、要件を聞こうと腰を折れば

「彼女のこと、もっと可愛がってあげた方が良いですよ。」
「…?!」

そう耳打ちされた。
どういう意味なのだろうか。
心落ち着かぬまま、席に戻る。

「…君、なんだか顔が赤くないかい?」
「え…そ、そうでしょうか…」
「セシリアさんに何か言われたのかな?」
「シュネル、人をからかう余裕があるなら…」
「はいはい…」
「……少し失礼します。」

やはり気になってしまいミコの元へと向かう。


「ミコ、待ってくれ。」
「…!タイウィンさま?どうかしましたか?」
「君、セシリアさんに何を話したんだ?」
「え…?………え、まさか……」

どんどん顔が青ざめていく。

「何て言われた…?!」
「もっと可愛がりなさい、って言われたぞ。」
「……〜〜〜ッッ!セシリア様っっ!」

怒ってはいない。
ただ何を話したらこんな事を言われるようになるのか、気になる。
膝をついて、両肩に手を置いて見上げながら聞く。

「何を話したんだ…?」
「えっと……その……セシリア様のお胸…大きいな…って見惚れてただけ…」
「……他は?」
「これしか言ってないよ!でもバレちゃった…」
「……はぁ…」
「ね、ねぇ…タウ…やっぱりお胸が大きい女の人の方が好き…?」
「急に何を言い出すんだ…」
「だ、だって…男の人はお胸が大きい女の人が好きって聞いたから……」

しゅんとしてしまった。
なるほど、だからもっと可愛がれと仰ったのか…
私は少なくとも一度も小さいなどと言ったことはないはずなんだが……
どうやら見比べたせいで落ち込んでいるらしい。

「ミコ、私はミコが好きだよ。」
「…!」
「ミコにしか魅力を感じていないし、セシリアさんとミコは全く違う人間だ。」
「…うん…」
「だから、何も気にすることはないよ。それとも大きくなるようにしてあげようか?」
「どうやるの?」
「毎日揉めば大きくなるよ。」
「…??!!!や、やっぱり良い!」
「おや、それは残念だな。」
「………でもありがとう……タウ、好き…」
「ん…可愛いね…」

抱きついてきた彼女を抱きしめ、頬にキスをすれば、はにかんだ。
あぁ、可愛いな…


「ローマンは巨乳派?貧乳派?」
「は?何を言ってるんだ、病気で頭がおかしくなったか?」
「それにしても、彼は本当に素晴らしく一途だよね、ミコも幸せ者だよ。」
「………それは俺も思う。」
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