話題性
少し遅れてテーブルに乗せられた特盛パフェに、若干気恥ずかしくなる。
どう見ても俺達に気を使っている。
「あれ…?クッキーもフルーツも3つずつだね…」
「当店にお越しくださりありがとうございます。失礼ですが、近衛隊長様と補佐様ですよね…?」
「もしや…オーナーさんですか?」
「はい、従業員からお3人方がいらっしゃると聞いて…ご挨拶に参りました。」
「そんな気を使わずに…我々もただ食事に来た客に過ぎません。」
「いえいえ、この街の安全を守ってくださってる第一人者様ですから。この様な形ででも、お礼を伝えたくて…」
「わぁ、わざわざありがとうございます!ここの料理とっても美味しいですね!」
「こちらこそありがとうございます…!これでまた噂が広がって、私の夢が叶います。」
「雑誌の小話読みましたよ。互いに庶民も暮らしやすい環境へしていきましょうね。」
「微力ながら頑張ります!では、私はこの辺りで。最後までお楽しみくださいませ。」
丁寧にオーナー自らが運んできたらしい。
元からカップル仕様なパフェだったが、更に俺達仕様になっている。
同じ値段で内容が増えてるのなら、ありがたい話だが。
さっそくクリームに刺さったクッキーを抜き取って口に入れる。
と、隣から不満気な声が上がった。
そして、銀色に反対側のクッキーを食べさせた。
全部に対してそれをしていたら日が暮れるだろ…
残ったもう一枚を抜いて、頬をツンッとつつく。
振り向いた口元にクッキーを近づけると、嬉しそうに頬張った。
思わず、口角が緩んでしまう。
あぁ、可愛いなぁ…お前は本当に…
口移しで食べさせてやりたい…もうこのまま持ち帰りたい…
悶々とした考えを頭の隅に押しやりながら、甘いパフェを口に運ぶ。
「この後はどうしようか。」
「せっかくのバレンタイン休暇だから、何かイベントに参加してみたいかも…」
「ならば、クリエイトイベントはどうだろうか?」
「いいねっ!オリジナルの物を作るの楽しそう!」
「会場もここから遠くないんだ。作るのは、ガラス細工だったと思う。」
腹ごしらえも終えて、触れ合いもそこそこに。
店を出る際に、噂をする声が聞こえてくる。
どこかの貴族が通っても話題にはならんが、俺達や王位に近しい者が立ち寄るだけで凄まじい集客力があるらしい。
しばらくはこの店も、悲鳴をあげることだろう。
もう俺には関係ないし、集客しようがしてまいが知らないことだ。
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