鍛錬
公務が終わり、戸締りをしてから君との訓練を始める。
体力訓練は普段の多忙さで多少は鍛えているだろう…
さっそく模擬剣を持たせて打ち合いをする。
腕力がないためか、打ち付けられても対して響かない。
何度も取り敢えず振り下ろされる剣を片手で受け止めて弾き返す。
激しい全身運動になるため、もう既に額には汗が流れている。

「やっぱり…剣の稽古となるとタウには全く歯が立たないね…」
「これくらいは軽くやれなければな。少し指導してもいいか?」
「え?いいの?お願いします…」
「まず…姿勢が悪い。腹と背にしっかりと力を入れて…腕はまっすぐに…」
「う…これは…腹筋が…」
「腕をのばしたまま反動を活かして振り切る…!」
「ひぁっ!す、すごい力…」
「すまない…大丈夫だったか?」

頷いたのを見て、もう一度受け身になる。
先程よりは剣に力が伝わっている。
何度か思いっきり振り下ろした後、剣を落とした。
慣れないことをして手を痛めてしまったらしい。
手のひらを見ると真っ赤に擦れていて、これ以上するのは良くないだろう。

「もうやめておこう…」
「手袋をしてるのは手が擦れるから…?」
「それもあるな。…汗だくだな?」
「うぅ……意外と疲れるね…」
「大丈夫、そのために私が剣を取り君を守っているのだから…」
「はぁ…こんなに大変な事を続けて強くなれる人は凄いや…とっても強いタウはどれだけ頑張ったの…」
「私もシュネル様の下に来てからずっと…君が勉強を頑張るだけ、負けじと続けただけだ…」

お試し程度に剣の稽古を切り上げ、部屋へと戻る。
ほんのりと暖かい部屋のソファの上で寛ぐ。
少し身を休ませていると、晩飯の良い匂いが漂ってくる。
立ち上がり、今日のメニューは何だろうかと少し覗いてみる。
ふむ、今日は豆のトマトスープか…さっそく皿を用意して心待ちにする。
もう一つフライパンが出されるとその上ではハンバーグが焼かれる。
あぁ…ますます腹が減ってきた…!
そっと腰に腕を回し、用意する姿を眺める。

「ふふ、お腹空いちゃった?」
「…それは…まぁな。」
「ハンバーグが焼けるまで先にスープでも食べる?」
「いやっ、だ、大丈夫だ。君が用意してるのに、私だけ食べることは出来ない…」
「じゃあ…すぐ焼けるから待っててね…」

裏面に軽く焦げ目が付くとひっくり返される。
私用と君用で大きさが随分違う事に少し照れてしまうが、君の心遣いはいつも変わらないな…
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