新入配属
「ん?珍しいな、お前から直々に指名とは。」
「どうか、この人を銀波の方へ配置してほしい。ローマン、良いだろうか?」
「こいつを…?出身はウェンテンベルクか…」
「試験の時にもこの方のご友人と思われる方が、応援していたのは聞いていたか?」
「…確かに、静かだからよく聞こえたよね。」
「いくら入隊希望したとは言え、住み慣れた土地から離れるのは、心身共にかなり負担になると思う。それに彼女は全成績が誰よりも優秀だった。その頑張りを評してご友人と会える機会を増やしたい。」
「なるほどな。ふむ、確かに一番優秀だな。良いだろう、こいつは銀波騎士団で確定だな。」


合格発表も終わり、数日置いて配属発表が行われる。
順番に各々の配属が伝えられていき、あの子の番になった。
元龍騎士のクリスティ・ノートン様。
ローマンさんから正式に銀波騎士団への配属が言い渡されると、きょとんとしていた。
銀波騎士団はウェンテンベルクとの国境沿いが主な守備地で、よく龍騎士と連携する部隊であると告げられると、少し照れた様子だった。
安心したような表情にも見えて、銀波騎士団に配属してもらえて良かったと心の中で祝う。
全員の配属発表が終わり、みんなドキドキ、ソワソワしながら解散した。

「ふふ、これから新入隊員さん達の活躍が楽しみですね。」
「あぁ、あの努力を試験が終わってからも続けてもらいたいもんだ。」
「私も暫くは彼らを指導する機会もあるからな…しっかりと良き指標になれるよう、より一層努力しようと思う。」
「えっ!タウはもう十分頑張りすぎというか…少しは休んでも良いくらいかも…」
「…そうだろうか?常々自分はまだ努力不足だと感じる事が多いが…」
「はぁ…生真面目も度が過ぎると面倒だな。」
「本当にっ、今のタウに必要なのは努力じゃなくて休養だよっ。」
「そ、そうか…?二人がそう言うのならそうなのかもしれない…」
「何なら、今度の新年祭で特別休暇を出してやっても良いんだぞ?」
「そ、そういう訳にはいかない…!わ、分かった…今日は鍛錬を休む事にしよう…」

相変わらず休養の感覚がズレている様子のタウに、ローマンさんから思わずため息が出てしまう。
とにかく今年も何事も無く、新入隊員さん達を迎える事が出来てホッとした。
ポリティアの方はどうなってるのかな?
タウが休養を取るように、たまには帰ってきてほしいなぁ…
5/5
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