被害1-3
静かになった洞窟から脱出して、無事目標達成したことに一息つく。
この後は自由にしても良いと言われたらしいが、ミコの装いは見ていられない。
早く戻って報告をしよう。

「ごめんなさい…敵から攻撃されることなんて予想出来たはずなのに…」
「落ち込むことは無いぞ。それに少し気絶していたから、体を休めた方がいい。」
「うぅ……お出かけしたかった……」
「今日のミコさんは、アンラッキーな日でしたねぇ…」
「結構落ち込んでます…はぁ…」
「さぁ、また何かと遭う前に戻ろう。」

つい、手を差し出してしまった。
…いや、もう分かっているのだから、気にする必要も無いか。
少し照れながらも置かれた手を握って、帰還する。


「シュネル様、ただ今帰還しました!」
「あれ?戻ってきたんだね、ご苦労さま……ってミコ随分とボロボロじゃないか!」
「えへへ……平気です……うぅ…お出かけ……」
「はぁ…せっかく機会を設けたのに……また今度だね。」
「わざわざ気を使っていただいて…すみません…」

報告を済ませ、一旦部屋へと向かう。
給仕に衣類を任せて、小一時間だけ貰った休憩をどうしようかと悩む。
ベッドに倒れ込み、ぼーっとしていると控えめに扉をノックする音。
返事をすれば、シャワーを浴びてそのまま来た様子のミコが入ってきた。

「ん、風邪ひくぞ…座って。」
「今日の私は絶対足手まといだったよね…?タウに迷惑ばかりかけちゃった…」
「気にしないでくれ…特に大きな怪我をしなくて良かった。私こそ庇えなくてすまない。」

髪を乾かしながら、落ち込んでいる背中を励ましてあげたいと思う。

「…髪拭かなくていいよっ、ぎゅってしてっ。」
「わっ…!…分かった…よしよし。」
「む…子供扱い…?」
「大人扱いしてほしい?」

ムスッとした唇を塞いで、隙間からこじ開ければ舌を捕らえる。
くぐもった声に少し逃げる素振りをするのを押さえ込んで、追い込む。
息苦しくなれば少し離れ、息を吸ったのを見ればまた塞ぐ。
数分ほどそうして、力が抜けきってしまったところで解放する。
真っ赤な顔で瞳を涙で潤いきっていた。

「はぁ…ふぅ……ふー……びっくりした…」
「機嫌は直ったか?」
「……いきなりするなんて酷い…」
「怒った?」
「ううん、好きっ。」

ベッドの上でじゃれ合う。
気分も少しは落ち着いたようで安心した。

「…今度、出かけられるとしたらどこに行きたい?」
「んー…あ、服が欲しいかな。タウ好みの服!」
「あはは、良いぞ。選んであげよう…ミコも私に好みの服選んでくれるか?」
「うん、もちろんっ。」
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