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涙を流すミコの体をぎゅっと抱きしめる。
俺の想いは一度も揺らいだことはないと言うのに。
何がそんなに悲しい思いをさせることになった…?
頼むから泣かないでくれ、苦しくなる。

「…ミコ、こっち向いて。」
「…やっ…」
「嫌だじゃない、向くんだ。顔を見られたくないなら、隠してもいい。」
「…ひっく………すんっ…」
「ミコ、俺はミコが好きだ。俺の隣にずっといるのはミコだけが良い。」
「……!!!」
「拒否権なんてないからな。本当はこの闘技で優勝したら、言うつもりだったんだが……」
「そ…なこと……」
「ミコ、英雄になった俺と結婚しろ。どこにも行かせない。ミコは俺と居るんだ。」
「そっ……な……ぐすっ…」

静かに嗚咽を漏らしていたのが、息を詰まらせながら泣いている。
その涙の意味は何だ、教えてくれ。
どうしてそんなに泣くんだ…

「泣くな…泣かないでくれ…」
「…ほっ…とに……わたしで…っ…いいの…?」
「お前じゃなきゃ嫌だ。」
「…ッッッ…!!……わたしも…ずっと…い"っしょにいたいよぉ"っ!!!」

勢いよく抱きついてくる。
泣き喚くミコの頭を撫でながら、全身で抱きしめる。

「俺と結婚してくれるよな?」
「はい…っ!!もちろん…!」

泣きながらも笑う笑顔は、やっぱり可愛い。
ずっと笑うんだ、ずっと幸せにしてやるから。
頬にそっと手を添える。
すると、瞳を揺らがせながら俺の顔を見る。
ぐっと顔を近づければ、顔を真っ赤にさせながら目を瞑る。
俺も緊張している。
ゆっくり唇を重ね…少ししてから離れる。

「……、…」
「ファーストキス…お互い様だな。」
「ただの…幼馴染じゃ…なくなるんだね……?」
「俺はずっと嫁にするつもりでしか、見ていなかったが?」
「ッ!?」
「お前は俺が思った以上に鈍感だったらしいな。まぁ全部が可愛いと思っているが。」
「タウだって本当はきっともっと意地悪さんなんだろうねっ。」
「フッ…そういう所も含めて好きなんだろう?」
「う………うん…好き………タウ、もう一回…してほしいな…」
「一回と言わず、何度でもしてやるぞ?」

ようやく涙が止まり、俺の事だけしか見ていないのが分かる。
そうだ、周りなど気にしなくていい。
俺はずっとお前しか見えていない。
だから、ミコも俺しか見えなくなってしまったらいい。
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