髪飾り
タイウィンさまはいつも長い髪を簡素な紐で結いでいる。
髪が邪魔にならないようにする為に結いでいるから、仕方ないのだけど…
それに長い方が好き、って言ったらしい事を覚えていた事も嬉しいから…
近衛隊長という役柄上、派手な格好はできなくてもやっぱり私の中では気になってしまって。
最近は甘えてくれているのか、毎朝髪を結び合いっこしている。
今日の三つ編みもタイウィンさまがしてくれた。
ちょっぴりふんわりとしているのが、好きみたい。
そう、タイウィンさまが自分好みにしてきているのなら、私だって私好みの事がしたい!

翌朝さっそく髪を結ぶ時にいつもの紐を取りながらも、ポケットから別の紐を取り出す。
スカーフ型の青い布で髪を縛って、リボン結びで留める。
結び目は硬く縛ったから緩むことはないと思いたい。
うん、銀髪だから紺色っぽい色選んでみたけど、やっぱり似合ってる!
可愛いかも!

「はい、できたよっ。」
「ん、ありがとう。」
「今日は甘い物作ったから、また夜に食べようね!」
「あぁ、良いな。たまには私も何か作ってみようか…」
「え、ほんと?じゃあ今度一緒に作ろ?」
「なら、早上がりになるよう頼まないとな。」

部屋を出る前に最後にもう一度キスをする。
見上げた顔の後ろにちゃんとリボンが見えて、ニヤけそうになる顔を必死に抑える。


「おはようございます、シュネル様。」
「おはようございますっ、シュネル様。」
「やぁ、今日も晴れたね…?」
「…?」
「…いい一日になりそうな気がするよ。」

シュネル様がさっそく、リボンに気づいたみたい。
悪戯っ子のような笑みを浮かべている。
そうだよね!
こんな真面目さんがリボンつけてたら、何だか面白いよね!
今日の予定を読みあげながら、チラリと様子を窺う。
特にお咎めもないみたいだから、このままでも大丈夫なのかな。
リボンになってるって気づいた時の反応が楽しみ!

歩く度にリボンが跳ねて揺れるのが、可愛くてずっと一歩後ろから見てしまう。
悪戯がバレたら、タイウィンさまは怒るかなぁ?
配給の準備に厨房へと向かう。
すると、向こう側からローマンさんが歩いてきた。
ローマンさんもリボンに気づくかなっ?

「ローマンさん、こんにちは!」
「あぁ、今日も元気そうだな。」
「午後からまた訓練の方に参加するので、よろしくお願いしますね!」
「こちらこそ、頼む………タイウィン?それは…?」
「ん…?」
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