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「ミコ、おいで。」
「…えへへ……」
「…、……」
「ぎゅーっ…!」
「…ぎゅぅ…」
「…ちゅー…?」
「………」

私が帰ってきた事がよほど嬉しいのか、甘えモード全開の様子が可愛らしい。
キスをねだる様子に一息置いて、応えてやる。
最初は触れ合うだけ、啄むだけ…それから互いの舌を絡め合う。
気持ちよさげに鼻から漏らす声に煽られて、貪るようなキスをする。
感触を堪能した後、離れると蕩けた様子で見つめられる。
…いけない、今日はもう寝た方が良い。

「もう一回…」
「………」
「…だめ?」
「…っ!」
「ん……♡はふ…♡♡んぅっ…♡」
「……っっ……」

キスがお気に入りなのか、離れようとすると体を押し付けられる。
これ以上は私の理性が弾けそうだ…
頭を撫でて諭すように離れさせる。
案の定、不満そうな表情をされた。
君は私を煽ってどうしたいつもりなんだ…
欲情する自分へ、誘惑するミコへの戒めに肩を強めに噛む。
悲鳴が漏れた後、肩に歯型がくっきりと残る。

「今日はもう寝よう。明日起きてから、また甘やかすから…」
「むぅ……分かった…おやすみ…」
「あぁ、おやすみ。」

擦り寄るように眠った姿をしばらく眺めて、目を閉じる。
髪の甘い香り、柔らかい体の感触、温かい体温に微睡んでいく。
ミコの傍が一番落ち着く…
騎士団に入団しても、副団長に昇格しても、伯爵として認められても…
変わらない態度に癒され、安心する存在。
貴族達の見定めるような目つき、媚びるような態度、全てが忌々しい。
そんな気持ちも慰められるような…特別な存在。
静かに寝息をたてる体に埋まるように抱きしめて眠る。
今回も疲れたな。

落ち着く匂いと体温に包まれたおかげで、ぐっすりとよく眠れて、すっきりと目覚めた。
まだよく眠っている顔を眺める。
柔らかい頬を指で撫でながら、目覚めるのを待ってみる。
今日は水曜日だから、早めに起きるはずだ。
控えめに鳴る目覚まし時計にゆっくりと目を覚ました。
私を見るなり、寝ぼけた様子で何度か瞬きした後、抱きしめられた。
体を擦り付けて、好きという気持ちを伝えてくる。
……猫みたいだな、顎を撫でたら鳴くんじゃないのか?
よしよし、と頭を撫でれば満足気に笑った。
寝起きの甘えを堪能してようやく離れた。
…今度は私の方が恋しくなってしまうじゃないか…
ベッドから立ち退く前に腕を捕まえて、もう一度後ろから抱きしめる。
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