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「栗衛門の花器が奪われた・・・ですか・・・」

ここは炭屋の黒木屋。居間に向かい合うさくらと黒木屋の旦那、黒木庄左ヱ門。目の前には庄左ヱ門の用意した抹茶と菓子。

「そうなのです。私忍者宿で働いてますが忍者のことはさっぱりで・・・犯人は忍者だから忍者に聞けと言われまして。無理なお願いだとは思うのですが」

彼はうーん、ともう一度うなる。あぁ、困ってる・・・そんな罪悪感をさくらは持ってしまう。

「栗衛門の花器は僕もよく知ってるよ。茶器でもいくつか名作があるし、器を含む、工芸家として名が高い・・・けど、どうしてそれを盗む必要があったのか・・・」

「忍者って、泥棒とは違うんですか?」

さくらの率直な質問に、庄左ヱ門は苦笑いした。

「身も蓋もないなぁ。ま、盗まれた方に、とっては曲者には違いないけどね」

「ごめんなさい。失礼なこと聞いちゃった。私、忍者のことなんにもしらないから」

その言葉を聞いて庄左ヱ門はふっと考え込んで黙ってしまった。真剣な様子でさくらをずっと見つめている。彼女はうっ、と固まって庄左ヱ門を見返した。

「そうだよね。忍者の宿にいるのに忍者のことを、知らないのは心配かもしれない」

ぽつり、と冷静に庄左ヱ門は語る。そうだ、と彼は手を打つ。

「忍術学園に一緒に行こう。忍者のことを知るなら、それが一番だ」
「忍術学園?」

忍術の、学園・・・?学舎だろうか。そうさくらが想像してると庄左ヱ門がにっこりと答えた。

「そう。僕はそこで忍者になるための勉強を6年間してたんだ。言ってみれば僕は忍術学園のOBってわけ」
「そこって、危険なところなの?私なんかが入ったらくせものー!ってならない?」
「危険なこともある・・・けど、基本は学舎だからね。それに、君を見て誰も曲者だなんて思わないよ」
「・・・私ってもしかして、無防備?」
「言われなくても無防備!でも僕もいるから、いざとなったら大丈夫。栗衛門の花器についても、なにか手がかりがあるかもしれない」

さぁ、そうときまったら行こう、と庄左ヱ門は茶器を片しはじめた。今日は黒木屋はお休みらしい。さくらもこの栗衛門の件でしばらくお休みをいただいていた。亭主の間宮は、そのショックで寝込んでいる。

「庄二郎、突然だけど私は忍術学園にいってくるから、留守は頼んだよ」
「はい。二人ともおきをつけて」

庄二郎くんがひょこっと出てきておじきのあとににこりと笑う。なんだか楽しそうだった。



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