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日が暮れ、もう辺りは暗くなる。食事処も夕食時を終え、人もまばらになっていた。
三人は食事を終え、さくらを見つけ声をかけた。
「食事、おいしかったよ。ありがとう」「よかった。また来てくださいね。お帰りも暗いので気を付けてくださいね」

さくらは出口まで彼らを見送る。椿亭からほんのり灯るあかりが彼らを照らしていた。

「うん。じゃあ、またあした」

黒木屋に帰る途中、金吾は庄左ヱ門の横顔をちらりと見る。いつもと変わらない表情。庄左ヱ門はその視線に気が付き金吾に振り向く。

「どうしたの?」
「庄左ヱ門、あの子と仲いいの?」

突然の質問に、庄左ヱ門は苦笑いする。

「なんだよ、いきなり」
「なんか、違ったから」

なんかってなんだよ、と庄左ヱ門は思った。自分は普通のはずだ。周りと変わらず接しているつもりだが・・・。

「そうか。僕、女の子と接するの、苦手なのかも」
「そういうんじゃないよ。あの子を見るときだけちょっと心配そうって言うか、特別そうだったから」
「そうかな?・・・よくわからないんだ」

庄左ヱ門はとても賢い。気遣いも細やかで、なにより思いやりがある。でも自分のことはあまり理解していない事が多かった。長年同じ学舎にいた金吾はいままでの彼をみて思う。

「!・・・まただ、金吾・・・」
「うん。まだいたのか。庄二郎」

庄左ヱ門は弟に手を伸ばす。庄二郎はその手を握った。安全のためである。金吾をつけてきた視線が黒木屋の店の前で感じたのだ。しかし、それはふっと消えていった。

「消えた?」
「そうみたい・・・ほんと、いったい何者なんだ?・・・庄左ヱ門?」

庄左ヱ門はなにか考えているのが少しの間、店の前で固まっていた。そしてうん、これだ!と拳を握り金吾に振り向く。

「金吾、これは僕の考えた筋書きなんだけど、聞いてみる気、ない?」
「庄左ヱ門の、筋書き?どんなことなの?」

こういうときの庄左ヱ門は頼りになる。たまに大胆で突拍子がないことがあるが。薄暗い半月の照す町の通り、金吾は恐る恐る彼の話を聞くのだった。



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