4
「さくらさん、本当に建長汁を作りにオウギタケ城にいくの?」
「もちろんです!喜三太さんは私の護衛をお願いしますね」「いいけど…ほんとにうまくいくかな」
その日の昼過ぎ、間宮に事情を話し、時間をもらったさくら。さっそく建長汁の材料を持ち運びオウギタケ城への道をさくらと喜三太は歩いていく。城への行き来が多い町なので、道中商人や馬車と多くすれ違った。
それを注意深く警戒しながら歩く喜三太。のほほんとした雰囲気から一変していた。
「きっとまだ敵は僕を探してるはずなんだ。変な奴がきたら僕から離れないで」「はい」
おだやかな川が流れる橋を渡ると遠くにオウギタケ城の門が見えた。無事についた、そうさくらが安堵した時だった。
「やはり、オウギタケ城への遣いであったか」林から黒い装束を身にまとった男が二人現れる。その姿にさくらは見覚えがあった。
庄左ヱ門が一度忍び込んだ時彼も同じような忍び装束だった。
「…やっぱり待ち伏せていたんだ」
さくらを守るように喜三太が前に出る。
「その密書は我々がいただこう」
彼らの目的は喜三太の持つ密書に違いないだろう。しかしこれは偽の密書で、彼らが手にしたところで建長汁の作り方しか書かれていないのだが。しかし指令は指令。喜三太はこれをオウギタケ城へ届けるために目の前の忍者二人をどうにか突破するつもりだ。
縄を持った忍者は喜三太に向かいそれを投げる先には錘のようなものがつながっていた。
「下がって!」「はい!」
その縄を避ける喜三太。近くの茂みに隠れ、素早く煙球を取り出し、火をつけた。
「さくらさん、僕の手を離さないで」差し出された手をさくらはとっさに強く握る。
喜三太が忍者二人にめがけて煙球を転がした。それをみた二人はしまったと思ったころには引火し爆発音とともに
煙がたちこめた。しばらくその場を動けずにいた忍者たち。
「くそ…失敗か…」
煙が晴れて二人は茂みを見渡すがさくらと喜三太の姿は見つからなかった。すでにオウギタケ城の方へぬけたらしい。
「これ以上はオウギタケ城に見つかってしまうな。迂闊には近寄れん。ここは退却だ」
「はい。しかし、見た目とは違ってなかなか腕がたちますねあの忍者」「あぁ…」
一方二人は敵忍者をきりぬけ、オウギタケ城の門の前まで走りついていた。互いに息を切らす。
「はぁ、うまく逃げ切れたんでしょうか?」「うん。きっとあの二人はここまでは来れないと思う。ふぅ〜」
「でもお見事でした!」
さくらは喜三太を尊敬のまなざしでみつめた。今朝からドジばかりの彼だがいざというときはとても頼りになる。
「一応、僕もプロだから〜。でも大丈夫だった?怪我とかしてない?」「はい。ちょっと疲れちゃっただけです…」
喜三太が持っていた建長汁の材料が入った風呂敷も無事だ。改めて呼吸を整え、喜三太はオウギタケ城の門を叩いた。
- 35 -
*前次#
一覧に戻る
ページ: