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寺の警備が行われてしばらく経った。あたりは虫の音と木々が揺れる音しか聞こえないが、おそらく三人は色々情報を集めているのだろう。
さくらはうっすらと火が灯る寺内で和尚と大量の薬草の仕分けを行っていた。

「和尚様、こちらの薬草の仕分けができました。」
「ありがとうございます。しかしあなたはまだお若いのに、自分の事ではなく人々の事をおもいやる気持ちをお持ちなのですね」
「そんな…私、親を戦で亡くしたので、悲しかったから無視できなくて」
「そうですか…。ところで私はこの仁地寺で、誰の城と仲良く、などとは思っていないのですよ」
「それはどういう事ですか?」「大名であろうが、貧しい農民であろうが、人には生活があります。生きていくことに人は皆同じです。だから傷ついた者がいれば誰であろうとこの仁地寺はその者を助けます」
「この寺を潰すつもりの人でも、ですか?」

和尚は静かに頷く。その信念にさくらは頭が下がる思いであった。この仁地寺はなにがあっても建ててもらいたい。そのためにさくらができることはやっていこうと思うのであった。

仕分けした薬草をまとめ、紐で結ぶ。さくらはこの寺から少しだけ離れた倉庫に運ぼうと薬草を抱えた。和尚がそれを見て立ち上がる。

「私が運びましょう」
「いえ。これぐらいなら軽いので私が行きます。」
「しかし倉庫は離れておりますので」

念のため、と和尚は言うが、そのたびに彼が手を止めていたら作業が進まなくなってしまう。
「離れてるってほんの数歩歩くだけです。すぐ戻ってきますから、和尚様は準備をしていてください」
「…わかりました。おかしいと思ったらすぐに引き返すのですよ」

さくらは足早に倉庫へと向かう。暗い倉庫ははひんやりとよりつめたく、人気がなかった…ようにみえた。
そっと薬草置き場に持ってきたものを積んでいく。改めて辺りを見回すといろんなものがあった。中でも目に付いたのは小型の壺だ。

「これ、全部薬草かしら?」

そうして何気なく壺の蓋を開ける。小さい黒く丸いものが、壺いっぱいに入っており、独特なにおいがした。

「薬草じゃない…?」

そう思ったとき、背後からごとりと音がした。さくらが振り返ると一人の男らしき人影が入ってきたのだ。
「それを見つけてしまったか」「誰…?」

暗闇のなか、外から差し込むうっすらとした月光が、その男の姿を照らした。忍び装束を来た男。乱太郎、団蔵、庄左ヱ門ではないと、さくらは身体を強ばらせた。

「それは火薬だ。それによってここの寺は今夜爆発する。死にたくなければ早めに逃げろ」
「爆発?じゃあ貴方は、ササタケの忍者?」
「ほう。我々の事を知っているのか。何者だ?」

男は一歩、さくらに近寄った。夜の目に慣れているのだろうか、ササタケ忍者はさくらの顔を見てハッとした。

「お前は、椿亭の女中じゃないか」
「・・・私を知っているの?」
「この覆面じゃわからんだろうな。そんなことはどうでもいい。なぜ女中がこんなところにいるんだ?」

男はそっと自分の懐に手を入れた。自分を捕らえて事情を話させるつもりなのだろう。さくらは三人の事は黙っていようとした。しかしササタケ忍者はすでに察しているようだ。

「この辺りをうろちょろしている忍者達と協力してるのか?ならば普通の女とて、仕事の邪魔をするなら容赦はしないぞ。大人しくお前の持っている情報を言うんだ」

取り出したのは小さな小刀。さくらは声を出すこともせず、負けまいと男を睨んだ。

「なるほど、女中にはもったいない覚悟だ・・・」

男が小刀を構えたその時、地を蹴る音がザッザッと近寄ってくる。そして男の後頭部に、太い棍棒のようなものが見事に命中した。

「よっしゃ!クリーンヒット!」

近くで団蔵の声が聞こえた。そのあと、爆竹の破裂音が辺りに響いた。

「・・・!見つかったか!」

「彼女から離れろササタケ忍者!それ以上近づいたらもっと痛いものを投げるぞ!」

「撤退する・・・っ!」

見つかってしまったササタケ忍者は逃げようとするもその場にうずくまる。それを見た団蔵がげっとササタケ忍者に近寄った。

「やばい、当たり所悪かったかも・・・」

団蔵とさくらはササタケ忍者のそばによる。よく見ると腕には包帯が巻かれてあった。

「もしかして、ここに来るまで、誰かに毒の手裏剣や吹き矢をうたれてるのかもしれない」

それを聞いたさくらは顔を青ざめた。このままではこのササタケ忍者は死んでしまうかもしれない。

「大変。助けなきゃ!乱太郎さんと和尚様を呼ばないと・・・!」

団蔵はさくらの言葉に驚いた。
その時、爆竹の音を聞いた乱太郎と庄左ヱ門が後からやって来る。ササタケ忍者の様子をみた乱太郎はすぐに彼を抱えて寺へと運ぶ。

「さくらさん、ここの薬草を持ってきて。この人を助けなきゃ!団蔵と庄左ヱ門も手伝って!」

「わかった」「はい!」



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