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寺に戻ると男を抱えてきた乱太郎達に和尚は驚いたが、男の様子をみてすぐに敷き布団を用意した。男を横にして覆面を取る。その顔にさくらと庄左ヱ門は見覚えがあった。
「この人、椿亭で間宮さんと密会をしたときの・・・」
「金剛さんだ!」
「どうやら何者かに毒の刃物を受けて負傷しているみたいだ・・・痺れが回ってきたんだろうね」
乱太郎は持ってきていた荷物を広げ小さな小箱をあける。薬草を煎じたもので、つんとした匂いがした。
「水を持ってきます」
さくらは近くの井戸まで走り、水を組んで持ってきた。乱太郎が調合したものを意識が朦朧とした金剛に飲ませる。
「これでよし。特効性はないけど、時期に少しずつよくなると思う。念のため傷口にも薬を塗っておこう」
乱太郎の処置は的確で、驚くほど手際がよかった。そばにいた団蔵がこそりと「あいつ、学園で保健委員だったんだよ」と教えてくれた。
庄左ヱ門は男を運んだあと、また倉庫に戻ってきた様で、奥から火薬を運んで来ていた。
「全く、倉庫の薬草壺と火薬をすり替えるなんて、あやうく寺と僕達が大爆発だったよ」
団蔵も手が空いたら火薬運ぶの手伝って、と庄左ヱ門が団蔵を呼ぶ。
呼ばれた団蔵は立ち上がって倉庫へと向かっていった。
「火薬を運んだのはササタケ忍者で間違いないだろうけど、この人をこらしめるつもりもないし・・・どうしよう」
さくらはまだ苦しそうにしている金剛をみつめる。乱太郎も、ケガ人である彼になにかをしようという気持ちにはならないようだ。
「とにかく、彼が目覚めるのを待ちましょう」
そんな話をしばらくしていると全ての火薬を運び終えた庄左ヱ門と団蔵がやってくる。
「これで全部っと」
火薬の壺は全部で6つ。倉庫以外にも外に似た壺があり、それも含め、寺の中で見つけた全ての壺を集めたようだった。
「これでササタケ忍者の作戦は狂ったはず。でも奴らの一番の予想外は、金剛がぼくたちに捕まったことだと思う」
「・・・私を始末しないのか?」
ふと、来ないと思っていた返事が返ってくる。皆が金剛に注目する、彼は苦しそうだが横たわったまま意識を取り戻したようだった。
「ここはどんな人も救う仁地寺ですよ?人殺しなんて、絶対しません」
さくらが目覚めた金剛にそう答えた。乱太郎も薬を片付けながら続ける。
「怪我をした人を放っておけませんしね」
その言葉に頷く和尚。しばらく黙っていた金剛だが、ぽつりぽつりと彼は作戦を語りだした。
「すでに察していると思うが、この仁地寺が出来ることでササタケに不利になる状況が生まれるかもしれない。我々ササタケ忍者は城の命令により、この仁地寺を破壊する計画を立てていた。しかし・・・」
金剛はまだ痺れの取れない身体をゆっくり起こし、和尚を見た。
「本当にどんな人でも救う寺だというなら、我々がここを壊す理由はない」
「金剛、それは」
手を引くってこと?と庄左ヱ門が言いかける。勘違いをするな、と金剛はその言葉を否定した。
「現に俺はお前達の敵であるにも関わらず助けたんだ。なら、その事を城に報告するだけだ」
「金剛さん・・・」
「椿亭の女中。お前にも借りが出来たな」
「借りだなんて、そんなのはいいんです。まだ顔色がわるいですから、横になってください」
さくらの言葉に素直に横になる金剛。あとは私が看ますと和尚が言った。さくらと乱太郎達はその部屋を出て誰もいないまだ古びた隣の部屋へと入った。
「うーん・・・」
「どうしたんだよ庄左ヱ門」
「気になるんだ」
庄左ヱ門は部屋の中であぐらをかき腕を組んで考えている。ササタケ忍者の作戦を阻止した今、悩むこともないとは思うのだが・・・。
「ササタケ忍者の金剛が負傷したこと?」
乱太郎が何気なく聞くとそれだよ!と庄左ヱ門は乱太郎に顔を向けた。団蔵はまだ首を傾げている。
「ササタケ忍者を襲った者、多分ササタケと仲の悪い忍者なんだと思うけど・・・とてもえげつない手を使うみたいだな」
「ササタケ以外にも敵がいるかもってことか?」
団蔵の問いに庄左ヱ門は頷く。
「でも今回の件には関係無いみたいだし、しばらく様子を見てみよう」
「た、大変だ!!」
襖を開けた乱太郎が声をあげる。三人は何事かと乱太郎の元へ駆け寄った。
「どうした乱太郎!なにか見つけたのか!?」
「ふ、布団が・・・」
乱太郎は一枚の布団を取り出す。
「布団が一組しかない!!」
だぁー!と三人が見事にこける。
すかさず団蔵が乱太郎に言った。
「シリアスな場面に茶々いれるなよ!」
「乱太郎、それはさくらさんが使うから敷いといて。僕達は外とか床で寝よう」
一人冷静に答える庄左ヱ門に団蔵と乱太郎は呆れたように笑う。
「庄ちゃん相変わらずね・・・」
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