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そんな事があった翌日、ここは椿亭の茶屋。食事もできてお茶もできる、一般客も宿泊客も利用できる場所だ。そこでさくらはいつものように接客をしていた。だけど今日は少し、目的が違うのだ。
「なぁ、聞いたか?黒木屋っていう炭屋、オウギタケ城からここに炭を売るなというお達しがでたらしいぞ」
「オウギタケ城が?また何で?」
「どうやら、この椿亭がオウギタケ城と仲の悪いササタケ城と関わってるとか・・・」
私ははっとその話を聞いてその若い男二人に注文を取りに行くふりをする。
「いらっしゃいませ。はい、お茶です。あの、その話・・・」
「おお、聞いちゃってたの?いやなに、噂だ噂。気にするなよ」
「いえ、私は下働きの女中ですし、あまり深いことはわからないのですが、私もその話のつづきを聞いたことがあるので」
その言葉に若い男二人の顔色が変わる。きっとこの二人も忍者なのだろう。
「商売ができなくなるからササタケ城と手をきってオウギタケ城と仲良くするって話もあるみたいで。女中のなかでの噂なんですけど」
これも庄左ヱ門が仕組んだ嘘だ。
この作戦はお互い嘘の情報を流し、実際にササタケ城とつながりのある椿亭を混乱させ、ササタケ城には椿亭が裏切ったという情報を広めさせていたのだった。
そしてさくらの言葉を聞いた彼らは一瞬目を合わした。その後けろりと笑い飛ばす。
「ははは!噂に尾びれはびれついてるな!」
「まったくだ。女中にさえ信じられてるよ」
二人はお茶をのみ終わると注文もせず去っていく。辺りの人々もどんどん宿から去っていった。
「本当にこれで大丈夫なのかな・・・」
さくらはこの椿亭の先行きが不安だった。椿悟郎が行ってたような、暖かい、まっとうな宿に戻って行くことを願った。
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