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町へ帰る途中、どこからともなく鐘の音がゴーンと聴こえた。その音に立ち止まる乱太郎。
「そうだ。帰る前に仁地寺に行こうよ。さくらさん、あれから寺もきれいになったんだよ!」
「なんだよその仁地寺って」
三治郎が乱太郎の言葉に反応する。
「お寺兼病院の所だよ。誰でも助けるとても慈悲深〜いお寺なの」
「慈悲深〜いお寺?」
三治郎もきなよ!と乱太郎は言う。四人は仁地寺へと向かうことにした。はじめは雑に生えていた雑草たちもきれいに手入れされ石階段までの道も整っている。
門の前にたつとふわりと線香の香りがした。門を入り直ぐ右を振り返ると鐘楼が見える。そこに鐘を鳴らし終えた和尚がやって来ていた。
「おや、皆様。いらしてくれたのですね」
「私はたまに来てるけどね」
乱太郎は仁地寺ができたあともよく様子を見に来たり、怪我人を看病しているらしい。
「そちらの方は山伏のお方ですか?修行、お疲れ様です」
「いえ、そちらこそ・・・。乱太郎、ここって普通のお寺じゃないの?」
三治郎は仁地寺のことはしらない。乱太郎は三治郎の手をとり、寺内へと入った。そこには数人の坊主がおり、怪我をしている足軽などの人達の看病をしていた。
「・・・色んな城の兵達がいる・・・みんな助けてるの?」
「うん。ここはそういうところなんだ」
「ここが、仁地寺・・・」
三治郎はその光景をみて目が覚めるようだった。自分はひたすらに忍者の仕事を行い自分のあり方を見失っていた。しかし今自分の目の前で行われいることは、常に生きることの真実であり、変わらない何かがあると感じたのだ。今現実に映っていることと、自分の間違いを悟った三治郎はうなだれた。
「僕、何も見えてなかった・・・。自分がどうありたいかなんて、考えてなかった。あげくの果てに人さらいなんてしようとして・・・。こんなんじゃ山伏も、忍者だって失格だ・・・」
がくりと崩れ落ちる三治郎。驚いた乱太郎があわてて三治郎のそばによる。三治郎は小さく、修行のやり直しだと呟いた。
「仁地寺の和尚さま、お願いがあります」
膝をついたまま、三治郎は和尚に頭をさげる。
「僕をしばらく仁地寺においてもらえますか?」
「三治郎、どうして?」
乱太郎が心配そうに聞く。そこで三治郎は、椿亭で見せたあの笑顔を向けるのだった。
「一からやりなおしするんだ。僕、人の役にたてる忍者になりたい」
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