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「私は貴方を受け入れます。三治郎さん。お立ちになってください」
頭をさげつづけた三治郎をみて、和尚がそういった。三治郎はゆっくりと立ち上がる。庄左ヱ門も納得したようだった。
「僕もそれがいいと思う。寺に山伏がいても何らおかしくはないし、仁地寺には城の情報が必要だと思うから忍者がいたほうがいい」
「うん。乱太郎と協力して、この寺を守ることにするよ!」
さくらも笑顔になる。椿亭での彼の様子はとても苦しそうで悩ましげだったので、目的を見つけて前向きになろうとしている彼を見て、ほっとしたのだ。
三治郎はさくらの元に寄りその手をつかんだ。
「さくらさん、ありがとう!僕、やりたいことをみつけられたよ。君に相談してよかった!」
「そんな・・・私は庄左ヱ門さんを頼りにしただけですよ」
こうして仁地寺に居ることになった三治郎。さくら、庄左ヱ門、乱太郎が帰ろうと門の前に来たとき、三治郎が固い表情で庄左ヱ門に近寄って顔を寄せた。
「暗殺者は確実に椿亭の女中を狙ってると思う。このままじゃさくらさんが危ない。何か手を打った方がいいと思う」
「・・・わかってる。当てがあるんだ。それで対策をするつもり・・・」
そう答えた庄左ヱ門を三治郎が肘でつついた。その顔はニヤリとしていた。
「大事にしなよ」
そう一言言い残して三治郎は庄左ヱ門から離れる。いつもの笑顔を三人に向けた。
別れを告げた三人。空はもう暮れかかっていた。町へ戻る途中、乱太郎があ!っと声をあげた。
「私、今晩泊まるところ決めてなかった・・・」
「えぇ?そうなの?」
その言葉に目を光らせたさくら。
「今、特別の間が空いてるんですけど、乱太郎さん泊まりませんか?」
「え!?いいの?特別の間なんてかりても・・・」
「いいんですよ、三治郎さんが泊まってたんですけど、仁地寺に行かれましたから空いてるんです」
はっと察した庄左ヱ門。そこで乱太郎に伝えてもよかったのだが、そうすると彼は自分の家に来てしまうかもしれないと思って、つい知らぬふりをしてしまった。
「じゃぁそこに泊まるよ!」
「毎度ありがとうございます〜ではではからくりの間にご案内〜」
「へ?からくりの間?」
その名前にさっと嫌な心地になった乱太郎。
ーその日の夜。椿亭のからくりの間に泊まった乱太郎は、一睡も安らげぬスリルを味わう夜を過ごすのだった。
女中をさらえ-完-
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