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「庄左ヱ門、伊助、いるか?」

あらっぽく黒木屋の戸を開けたのは虎若。彼もまた、女装の装いを解いている。
庄左ヱ門と伊助が表へ出ると、虎若のほかに、旅装束姿の男が二人虎若の後ろにいた。

「虎若、どうしたの?その人たちは?あれ…あなたは」

庄左ヱ門は片方の男には見覚えがあった。それはササタケ忍者の金剛であった。
なぜ虎若が金剛と共にいるのか、そんな疑問に虎若が答えた。

「僕を忍者と見破ってここに来る途中声をかけてきたんだ。この二人はさくらさんの知り合いの金剛さんと、こちらはオウギタケ忍者の赤虎さん」
「えぇ?仲の悪いササタケとオウギタケの忍者がなんで一緒にいるんだ?」
「そんなのは後々!この二人の話を聞いてよ!」

ここじゃ目立つと皆は黒木屋の中で話す。居間では小さな明かりの下五人が輪を囲んで座っていた。
ササタケ忍者の金剛はゆっくりと口をひらく。

「我々はとある城の忍者につけ狙われている。その正体をつかむため、…実は椿亭で赤虎と密会をしていたのだが、外にいるとき、夜中に椿亭の女中が白波神社を通るのをみつけたのだ」

どうして夜にさくらが外に出ていたのだろうか。庄左ヱ門は気になったが黙って話を聞き続ける。

「そこで太った男と背の高い男が現れて彼女を連れ去っていったのだ。すぐにやつらを追いかけたら、なんと白波神社の裏には使われていない小屋があって、そこに地下室があった」

赤虎は助けに行こうと金剛に行ったが、金剛はまず黒木屋の旦那に報告すべきと判断し、ここまで来たらしい。その途中に椿亭で働く虎若に会い声をかけたというわけだ。

「でも僕椿亭じゃ、女中に変装してたんだけどよくわかったなぁ」
「誰でもわかるよ・・・」

伊助があきれている横で赤虎はそっと懐に手を出し、ひとつのお守りを取り出した。それは庄左ヱ門と同じ白波神社のお守りだった。

「これが彼女のいた道端に落ちていました」
「あいつらが狙っているはずのさくらさんのお守りだ…なんで道端に落ちてるんだろう」

目的であるはずのお守りを拾わず、彼女だけをつれさってしまったということだ。場所はおそらく白波神社の地下。
暗殺忍者のやることは容赦ないはずだ。さくらの身になにかあると思うと…そう考えた庄左ヱ門はとても焦っていた。はやくさくらを助け出さねばならない。

「庄左ヱ門、大丈夫だよ。みんながいるから!」

そんな庄左ヱ門の心中を察した伊助と虎若は落ち着いていて、自分の焦る気持ちに気づいた庄左ヱ門は一度瞳を閉じ、深く息を吐いた。
するとひとつの作戦がうかんだ。冷静さを取り戻した庄左ヱ門は彼らにその作戦を伝えた。

「ありがとう。でも…今回はぼく一人で彼女を助けに行ってくる」

その作戦は単純だった。皆は意図がわからず皆は拍子抜けする。

「相手は暗殺忍者だよ?庄左ヱ門一人でやっつけるの?」
「ううん。ぼくも捕まえられに行ってくる」
ますます作戦が理解できない。庄左ヱ門はお守りをふたつ彼らに見せた。

「こいつを使って奴らを混乱させる。その隙に彼女を取り返しに行ってくる。僕は彼女にいわなければいけないことがあるんだ。それを伝えるためにも絶対にさくらさんを連れて帰る」

庄左ヱ門の決心は固かった。みんなもその気持ちが伝わったようで、彼の気持ちを組んで作戦に意見するものはいなかった。
その前に、と庄左ヱ門はさくらの持っていたお守りの紐を丁寧にほどいていく。皆は興味深げにみていた。この中には暗殺忍者の指令書がはいっているのだ。
そのお守りを開くと白波神社の小さな護符が描かれた木札と、小さく折りたたまれた紙が入っていた。それをそっと開いて庄左ヱ門は黙って目を通した。

「こ…これは…!」

読み終えた庄左ヱ門はその指令書を彼らに見せる。顔を寄せてそれに目を通した皆も驚きの表情を隠せなかった―



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