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暗く冷たい岩肌、そこには松明が1本立てられているだけの狭い部屋だ。
そんなぼんやりとした地下の中、拘束されたさくらは二人を睨んだ。
「もう散々調べたでしょう?お守りがないってことは本当よ」
「うーむ・・・」
男二人・・・暗殺忍者の豪雷と瞬雷は何も持たない女中を前に困っていた。さくらの荷物や身に付けているものを調べても、椿亭でみた白波神社のお守りは出てこなかった。
「確かにみたはずなんだが・・・」
背の高い男、豪雷は腕を組みつぶやく。
「やっぱりこの女の言うとおりどこかに落としたんじゃないですか〜」
松明を持つぼんやりした男の名は瞬雷。二人とも本名ではないのだろうが互いの事をそう呼んでいる。さくらは、自分が連れ去られた理由を今一度尋ねてみる。
「なんでその白波神社のお守りが必要なの?」
すると瞬雷が答えた。
「これは〜ドクタケ忍者が白波神社の祭りのときに売ってたお守りで、お前のものには雇われ先である指令書が入っていたのだ〜」
「ドクタケ?あの悪い城で有名な?」
ぽこん、と豪雷が瞬雷をなぐる。
「ばか野郎!ペラペラ話すんじゃない!まったく女に弱いんだから・・・」
「えへへ、でもどうします?」
「仕方ない、女をここに残したままお守りを探すしかないだろう。この辺りにあるはずだ。拾われる前に回収する」
「私、このままなの?」
当たり前だ、と豪雷は投げやりに答える。その後声を低くして一言呟いた。
「俺達は暗殺者だ。顔をみられた奴は消す。悪いが、あんたも覚悟するんだな」
「・・・・・・」
どうやら無事に帰れないらしい。さくらはその言葉を聞いて、恐怖よりも諦めよりも、悔しいという気持ちが湧いた。自分はまだ庄左ヱ門に気持ちを伝えていないのだ。こんな所で死ぬわけには行かない。
「・・・なにか上で音がする」
「ここは使われてない小屋のはず。誰かなぁ〜」
がこ、と地上へ続く小屋の床が外れる。
「真正面からやってくるとはいい度胸だ」
そのまま勢いよく侵入者は地下へ飛び降りた。瞬雷が手に持っていた松明を近づけると忍び服を着た一人の男が照らされた。
「やっぱりここにいたんだね」
その声にさくらは顔をあげる。聞き馴染みのある落ち着いた声音。ずっと会いたかった人の声だった。
「何者だ」
「そんなことより、お前達が探してるもの、なくてこまってるんじゃない?」
豪雷と瞬雷はその言葉に反応した。まさか、と呟く。
「僕がもってるっていったら・・・どうする?」
「決まってるだろ・・・奪う!」
男はクナイを取り出し庄左ヱ門へ構える。しかし彼はそれをみてもにもしなかった。
「奪わなくてもいいよ。あげるから」
「・・・へ?」
「だって普通のお守りだし。なんでそんなに必死なのかわからないぐらいだよ。はい」
庄左ヱ門は白波神社で買ったお守りを瞬雷に渡す。
「まて、隙をついて俺たちに反撃するかもしれない。お前を拘束する」
「用心ぶかいなぁ。別にいいけど」
「いやに素直だな・・・まてよ・・・」
豪雷は覆面をしている庄左ヱ門をじっと見つめて、はたと気づく。
「お前、どこかで・・・白波神社で俺より先にこのお守りを買っていなかったか?たしか2つ買っていた。ということは、これは偽物だな!!瞬雷!」
間髪いれずそのまま庄左ヱ門を羽交い締めにする瞬雷と豪雷。動けなくなった庄左ヱ門の懐に手をやりもう一つのお守りを奪い、取り上げた。豪雷らそのまま手を拘束し蹴り倒す。なすすべもなく、庄左ヱ門はさくらの隣へ倒れこんだ。
「ぐっ・・・」
「庄左ヱ門さん!」
倒れた庄左ヱ門を心配するさくら。庄左ヱ門は小さな声で大丈夫、と言った。暗殺者二人はようやく手にしたお守りを手ににやりと笑った。
「これで仕事ができるってもんだ。ここじゃあの怪しい忍者に見られる。念のため上にいくぞ」
「へい」
二人はさくらと庄左ヱ門をおいて地上へと上がる。庄左ヱ門が身体を起こしふう、と息をついた。
「怪我、してない?」
「うん。平気。さくらさんこそ、あいつらにひどいことされなかった?」
「ちょっとべたべた調べられたけど、大丈夫です。でもあの人、顔をみた人は皆消すって言ってたわ・・・どうしよう・・・」
庄左ヱ門にあえたことで張っていた緊張が少しほぐれる。すると今さら恐怖がわいてきて震えた。すると彼はそっとさくらの傍に寄り肩にもたれた。
「大丈夫、言っただろ?君は僕が守るから」
そういって微笑む庄左ヱ門。それがさくらにとってどんな意味なのか、わからずにいた。
「庄左ヱ門さん、私・・・あなたに伝えたいことがあるの」
「そうなの?僕もなんだけど」
「へ?」
お互いみつめあう。庄左ヱ門の言いたいことってなんだろう。もしかしてまた忍者に巻き込まれたことを怒ったりするのだろうか?なんて考えていると「君からどうぞ」と庄左ヱ門が言った。
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