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それからしばらく怪士丸と平太は放課後、図書室で日誌の解読をするようになった。怪士丸が読み上げた気になる部分を平太が紙に書いていく。その作業をしている間にすみれも図書室にやってくる。そんな日が続いていた。
本日怪士丸と平太は紙に書いた文字を見直してあれこれ思案していた。すみれも来ている。
「どんな感じ?」
「うん…この血とは別に書かれてある朱色の一文字がいたるところにあって順にあ、た、ら、よ、あたらよ・・・と場所が書かれてあるんだけど、どこやなんのことか・・・さっぱりわかんないんだ」
ぱらぱらとめくって朱色の文字をみせる怪士丸。それに気になる点はまだある。
「例えばこの・・・南の寺で武士を数人斬った日のことは、首を切った、胴を斬ったって細かく書かれてあるけど、最後の百人目は
「神降りし岩に眠らん」って曖昧に書いてあるんだ」
「よくそんなも平然と読めるね…怪士丸くん…」
「僕、ホラー小説とか好きだから…」
そのあとも三人で気になる所を出し合い、怪士丸がまとめる。彼の分析はとても的確で冷静だった。
洗いざらい気になる所をあげて改めて見直す。
「やっぱり気になるのは「あたらよ」と「神降りし岩に眠らん」かなぁ・・・平太?」
平太はまとめた本をじっと見つめていた。そして恐る恐る、二人にこういった。
「気になったんだけど・・・これ結構昔の本だから日誌に書かれてる場所とか・・・今の地形や名前なんかも変化してる・・・かも」
平太の言葉にすみれもうなずく。なにかヒントが出るかもしれない。
彼女が忍術学園に過去の地図はないかと聞くと、用具倉庫にあるかもしれないと平太は言った。
「じゃあ僕と平太が取りに行くから、すみれさんはここで待ってて・・・」
「え、ちょ・・・と、僕も?」
怪士丸は強引に平太を引っ張って図書室を出ていった。
廊下に出た二人はそのまま用具倉庫へ向かう、半端強制的につれていかれた平太はちょっと不満げだった。
「怪士丸、なんで無理やりつれてくるんだよ・・・」
「なぁんか変だと思って・・・。平太、無理してるんじゃない?本を読むときも人を斬る場面になると目をつぶってみないようにしてるし・・・」
だって、と平太は怪士丸の言葉に答える。
「すみれちゃんがいるから・・・気になって」
「でも、向こうからしたら平太の方が心配される方だと・・・思うよ」
「うう・・・」
怪士丸のストレートな言葉に思いきりへこむ平太。薄々分かっていたことだが、彼女にとって平太は年下で頼りない男の子だと思われているのだ。気になる女の子にそう思われて、不本意な気持ちとその心配してくれるすみれの優しさに甘えている自分がいることも、平太は自覚していた。
「あ、わかった・・・。そういうことね・・・」
何気なくはなった言葉に落ち込みっぱなしの平太に怪士丸はその気持ちを察したようだった。
「まぁ、無理して自分を変えなくてもいいんじゃないかなぁ?」
そういって再び用具倉庫へ歩き始める怪士丸。彼は頭の回転がはやく、知的な一面を持っているし、いざというときは勇気がある。そんな怪士丸の背筋を伸ばし歩く背中を見て、平太の気持ちはまた落ち込むのだった。
そうして用具倉庫へたどり着いた二人。するとそこには道具管理主任である吉野が用具の確認をしていた。吉野は二人に気がつき振り返る。
「おや、平太に怪士丸くん。倉庫になんのようだね?・・・もしかして日誌の件かな」
「はい・・・、あの、吉野先生・・・忍術学園に周辺の昔の地図ってありますか」
吉野は倉庫の中を見渡す。少し考えて、そういえばと奥の方に行き、がさりごそりと音がすれば手に巻物をもって戻ってきた。
「昔・・・学園をたてる前に参考にしたといわれる地図ならこれだと思います。昔と言えば昔のものですが、建てた後は地図は全く使いませんでしたからねぇ・・・これが役にたつといいのですが」
その巻物を怪士丸が受け取りゆっくりと紐をほどき開くと、学園があるであろう場所を中心に地図が描かれてあった。そこにはあたらよ峠とかかれた場所もあった。
「わー、参考になりそうです〜」
「吉野先生・・・ありがとうございます・・・」
二人は地図を借りるため貸し出し表に記入してぺこりと頭を下げ、用具倉庫を出ていった。
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