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次の日、夜明け前からドクたま達は大量の木材や道具を台車に積んで出城建築予定地まで向かった。
指揮は下見を行った春鬼といぶ鬼が担当することになった。
「倉庫や城のおおよその骨組みはできたけど、このあとどうするの?なんか案があるって春鬼言ってたけど」
昼になり背中合わせで昼食をとる。辺りに怪しいものがいるかを警備するためだ。聞いてきたのはしぶ鬼の声。
「うん。これ、回してくれる?」
りんが大きく描いた「完成予定図」を隣にいる山ぶ鬼に渡す。何気なく受け取り、それをみた瞬間肩を震わせて笑う山ぶ鬼。その反応に気になったふぶ鬼がひょこりと山ぶ鬼のもつその図をみた。
「なんだよこれ!ぶっさいくな顔!」
「これは木野小次郎竹高さまよ!あはは」
爆笑する二人の様子が気になりしぶ鬼、いぶ鬼も山ぶ鬼の元へ行きその完成予定図を見て、同じように大笑いする。
そこにはでかでかと木の彫刻で掘られた木野小次郎竹高の像と、金ぴかの屋根、そしてドクと書かれたド派手な旗が揺らめく出城の図が書かれていた。
「ほ、ほ、ほんきなの春鬼っ!」
皆が笑いをこらえ涙を流しながらりんに聞く。平然と彼女は答える。
「うん。どうせやるならドクタケらしくしようと思ってさ」
「こんな目立つ城速攻で落とされそうなんだけど・・・」
「でも結局落ちるんでしょ?」
「まぁ、そうなんだけどさ・・・」
今までの経験からしてドクタケが忍術学園に勝ったことなど一度もないし、あの城主にあの部下で勝てる見込みなどないので結論が「この出城は落ちる」に誰も反論する者がいないのであった。
「あーあ、どこもおんなじ物を作るんだと思ったけど、こういうことなら作るの楽しくなってきたかも!」
「僕も!ゴハンを食べたら早速つくろうよ。春鬼、いぶ鬼、指示を頼んだぜ」
落ちる城を作ることにも何故かやる気が出てきたドクたま達。皆で必死に夜遅くまで建築し、一週間が経った。簡素な作りであったため、一週間が経ったその日の夜には形ができていた。
すべての作業を終え泥や木屑だらけのいぶ鬼と春鬼は本丸から見える夜景を眺めた。今夜は半月でうすら明るい夜だ。
「そろそろ火薬を積んだ木下穴太隊長の部隊がくる頃だね」
「うん。・・・なぁいぶ鬼、今も、悩んだりしてる?」
りんはふといぶ鬼の気持ちが心配になった。こうして協力して出城をつくったことに罪悪感など抱いていないだろうか。しかし隣にいるいぶ鬼は笑顔だった。
「悩んでない。むしろ達成感!皆で何かやるっていいね」
「そうか・・・その、金吾のことで・・・」
「わかってる。でも僕は選んでここにいる。これは、いつかは来る事だったから・・・これでいいんだ」
そういって笑顔を崩さないいぶ鬼。友のいないりんには、いぶ鬼の気持ちを理解するなど到底できなかった。そして、ふとあの時金吾に言われた言葉を思い出す。
"冷たい目だ。ドクタケなんかよりもずっと・・・"
その言葉に、自分が忍術試験のためにいぶ鬼を口実にしたことに、今さらだが猛烈に心を痛めた。だが試験のことは言えない。いぶ鬼にどう言えばいいのか、りんは考えていた。
「いぶ鬼、俺は君に謝りたいことがあって・・・」
「え・・・?」
「こんばんは諸君!火薬を持って来たぞ!」
どん、と門があくといくつもの台車が流れ込むように入ってくる。そこには大量の火薬壺が積んであり、ドクタケ忍者隊があっという間に床に壺を並べていく。姿を現したのは松明を持ったドクタケ忍者隊部隊長大黄奈栗野木下穴太だった。彼は非常に上機嫌だった。
「この出城ができていく様子を見ていたが、実にエクセレント!素晴らしい!」
「はっ。隊長のお言葉、光栄でございます」
春鬼といぶ鬼はひざまづき頭を下げる。
「殿も非常にお喜びであるぞ。やはりドクたまは優秀だな・・・」
「穴太隊長、すべて火薬を移しました」
「ご苦労。大砲の準備も引き続き行え」
忍者隊はそのまま外へ出ていき、大黄奈栗野木下穴太といぶ鬼、りんの三人だけになる。
「今回の指揮はいぶ鬼と春鬼と聞いた。この働きは八方斎様にもお伝えをしておく・・・が、一つ失敗をしたようだな」
木下穴太は天井を見上げる。二人も見上げるがなにもない・・・かに思えた。木下穴太は天井に声をかけた。
「そこのネズミ、出てこい」
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