イメージアップを図るのだ1


「ドクタケ研修生のみなさん、本日は君たちにドクタケの将来に関わる任務を与えます」

いつもの城内の会議室に集められた5人。八方斎から直々の任務ということでどんな重要な任務を与えられるのか
緊張した空気が漂う。いつもの悪人顔をさらに歪ませ、八方斎は笑う。

「ドクタケの…」「ドクタケの…?」

「イメージアップをはかるのだ!」

八方斎が高々とドクたまたちにそう発表する。彼らは互いに顔を見合わせ首を傾げた。
なぜならドクタケはいろんな場所であくどいと評判であり、いまさらイメージアップなどをおこなっても
効果はないと思っているのだ。しぶ鬼がはいと手を挙げる。

「はい。しぶ鬼くん」「なんで私たちがやるんですか?」
「よくぞ聞いてくれた。答えは簡単だ。我々ドクタケ忍者隊、大人が一生懸命宣伝を行うよりも…」

びしっと八方斎はしぶ鬼たちを指さす。

「君たちのような若い少年少女が宣伝したほうが、けなげだからだ!」
「えぇ…そんな理由?」
「はい」

つぎはりんが手を挙げた。同じく八方斎が指名する。
「はい。春鬼くん」
「なぜイメージアップを行うのですか?」

何気なくしたりんの質問に八方斎の様子は一変し、どんよりと肩を落とす八方斎。これはめんどうくさい理由がありそうだととっさに察したのはドクたまの4人だ。

「それは忍術学園の学園長、大川は町でも評判がよく、いろんな城のネットワークを持っているというのに…」

「まーた、学園長のことだよ…」

ぼそっとふぶ鬼が漏らすがその声はドクたま以外に聞こえることはなかった。悔しさを抑えきれない八方斎は思わず力を込めてその理由を語る。

「ドクタケは嫌われているがゆえに支配下の町も活気がなく、他の城との関係も皆無だからだ!!くやじい!」
「しかたありませんよ。うちは戦ばかりで町も穏やかに暮らせませんし卑怯な手も使うから、他の城も信用できないのは当然…」

しぶ鬼が至極まともな意見をするが、わがままな八方斎はそれを聞き入れず地団駄を踏んでいる。

「だぁからこそ!!イメージアップなのだ!!内容はお前たちで考えてこーい!」
「ええ〜!」

八方斎のわがままぶりと全てを丸投げにされて作戦会議は終了。
八方斎が出て行ったあと、しぶ鬼の周りを囲み話し合う。突然の課題にドクたまたちも困惑している。
「無茶苦茶いうよな。いきなりドクタケのイメージアップをしろなんてさぁ」
「どうするしぶ鬼?」

しぶ鬼は腕を組み、リーダーとしてどうするべきか考える。しかしどの案をもっても失敗に終わる結果しかみえないので正直彼自身もどういう作戦が一番いいのか、悩んでいた。
ふと、りんと目が合う。こういう時に頼りになるのは春鬼である。

「春鬼、なんかいい案ない?僕はやっぱりドクタケの支配下にある町が一番やりやすいと思うんだけど」
「俺もそう思う。そうだな…ドクタケ名物をつくるっていうのはどう?」

ドクタケ名物?と彼らは首を傾げる。しぶ鬼がその考えに納得したようであった。
露骨に自分たちが善行を行うよりも、名物などすんなり手に入りかつ良いものを世に出せば、自然と評価は上がるものだとしぶ鬼は思った。

「いいじゃん。さすが春鬼だね」「でもなんの名物を作るの?」

いぶ鬼の質問に再びみんなだまりこむ。名物といえど幅がある。曲芸であったり物であったり、食べ物であったり。
しばらくみんなで思案しているとそうだと山ぶ鬼が手を打った。

「ドクタケ領内の町に、知ってるお饅頭屋さんがあるの。そこでドクタケ饅頭をつくるのとかどう?」
「饅頭か。土産にもなるし道中でも食べれるから、いいかもしれないな」

りんがそう賛同すると嬉しそうにする山ぶ鬼。しぶ鬼といぶ鬼も饅頭を名物にすることに意見はないようだった。

しかしふぶ鬼は納得がいかずにいた。それは山ぶ鬼のことではなくりんの事だ。
彼は決してりんが嫌いというわけではない。だが、常日頃一人の男として完璧すぎる春鬼に納得がいかずにいたのだ。
来た時から美しく、強く、そして聡明である春鬼──。人はどこかに必ず弱点があると教師である魔界之小路も言っていた。
ふぶ鬼はその弱点を必ず探ってやるという密かな野望を持っていたのだった。

「どうしたのふぶ鬼、だんまりしちゃって」
「い、いや!なんでもないよ。僕もその意見に賛成」

今日こそ春鬼の弱点を突き留めて見せる…。ふぶ鬼は今日も涼しい顔の春鬼をサングラス越しにみつめるのだった。



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