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「俺の忍者の里でよく作ってた品があるんだけど・・・」
「春鬼の故郷?へぇ!どんなの?」
その言葉にしぶ鬼は興味深げに聞く。他のドクたまも注目する。
りんの忍者の里の一帯は山ばかりで春夏秋は沢山の山菜がとれた。それを里の人間のほとんどがみそ漬けにして食べていたのを思い出す。
「山菜の味噌漬け」
「山菜か〜!ドクタケ城のまわりでも結構採れるよね」
「みそは力もつくし・・・かなりいいなって思う」
りんの提案にドクたま達も賛成し、ドクタケ名物は山菜のみそ漬け饅頭になった。適当に腹ごしらえをして店を出た彼らは、早速山菜取りとみその調達をすることにした。しぶ鬼が先頭に立ち、四人をみて指示する。
「では、みそ班が3人!味噌は重いから僕といぶ鬼と山ぶ鬼が担当します。山菜班はふぶ鬼と春鬼。6人分くらいの山菜を積んできて欲しい。時間は夕暮れ前まで、調達したらあかやさんで待機すること!」
「はーい!」
そうして味噌と山菜の調達班に別れ、それぞれが別れる。りんはふぶ鬼と行動を共にすることになったのだが・・・
「ふぶ鬼、よろしくな」
「あぁ、よろしく・・・」
こんな状況でも、ふぶ鬼の野望は消えることはなかった。完璧すぎる謎の研修生、春鬼のことを調べるためのチャンスだと、ふぶ鬼は思った。
「どの山がいいんだろう」
町から外れたところで春鬼はそこから見えるいくつもの山を見渡し悩む。しかしドクタケ城に長いこといるふぶ鬼にとって、ここらあたりの山は大体把握できていた。
左、真ん中、右とある山。ふぶ鬼は右を指差す。
「ここだと右の山がおすすめだよ。毎年沢山山菜がなってるのはよく見るから」
「さすがだな。じゃあ右の山に行こう」
二人は黙々と右の山を目指す。ふぶ鬼は、ふいにりんにこんな質問をした。
「春鬼ってさ、生まれた里ではどんな風だったの」
「え?俺?」
突然自分のことを聞かれて、どもるりん。彼女は自分が里にいた頃を思い出す。先祖代々忍者の家系であるりんは厳しい親のもと、恥じない忍者として常に鍛練や勉強をしていた。
「普通だよ。忍者になるために勉強や修行して・・・君たちと変わらない」
「でもすごい優秀じゃないか。完璧で怖いぐらい」
りんはふぶ鬼がそんな風に思っていることに驚いた。自分は常に未熟者だと言われ続け、すべてをなげうって忍者の勉強に専念していたので「完璧」とは程遠いと思っていただけにふぶ鬼の言葉は新鮮だった。
「俺は別に完璧じゃないよ。足りないものや・・・苦手なものもあるし」
「春鬼の苦手なものってなに!?」
やや食い気味に聞いてきたふぶ鬼。だがりんは苦笑いしてかわす。
「自分から苦手なものをいったりするかよ。内緒」
ぐぐぐっと聞きたい答えを聞けずに内心とても悔しがっているふぶ鬼などりんは知らずして山へと登り続けるとひらけた場所に出る。
「ここ、山菜が群生してるよ」
いつも春には山菜取りに行っていた春鬼。見慣れた山菜にいち早く気づき、近寄る。よくみるとここらはかなり色んな山菜がたくさんはえているようだった。
「ふぶ鬼の隣に生えてる草も山菜だよ」
「ほんとだ」
二人で真剣に山菜を採取する。携帯していた荷袋に積み、おおよその量を確保する。
「ふぅ、こんなもんじゃない?」
「あぁ。夕方までには余裕で帰れそうだな」
二人は山を降りる準備をする。荷袋を持ち上げて行こうとするとふっと辺りが暗くなった。春鬼が空を見上げる。
「雨雲か・・・降る前にかえ・・・」
「あ、もう降ってきた」
ぼつ、と大玉の雨粒がふぶ鬼のほほに落ちてくる。ひとつ、ふたつと雨粒が勢いを増して徐々に本降りになった。
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