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「分けてもらいましたメイドイン、ドクタケのみそー!」

あかやの厨房でどどんと置かれたのは赤い坪で「どく」とかかれた抱えるほどの大きさの味噌壺。
にやり、としぶ鬼、いぶ鬼、山ぶ鬼は笑う。

「これはドクタケ城門外不出の秘伝の唐辛子味噌なんだよ〜。課題のためにっていったら簡単に分けてくれた!」
「門外不出なのにね」
「味が気になるな。どれどれ」

あかや店主は人匙の半分、味噌を口にいれる。深みがあり柔らかい赤味噌の味と、舌にぴりっと感じる加減のいい唐辛子の辛さ。うまい、と店主は唸った。

ふぶ鬼と春鬼も積んだ山菜を台に置く。彩り鮮やかな山菜をみて彼らは笑顔になった。

「ばっちりじゃん!あかやの店主さん、材料は用意しました!山菜の味噌漬饅頭の作り方、教えてください!」

しぶ鬼の言葉にドクたま達も深々と頭を下げる。彼らは店主の言葉を待った。店主はもう一度材料と、頭を下げたままの少年と少女を見て、深くため息をついた。そして笑顔で頷いた。

「よし、いいだろう。やってみようじゃないか」
「ありがとうございます!」

ばっと一斉に顔をあげて喜び合うドクたま達。これでやっとドクタケイメージアップの名物を作ることができるのだ。無邪気に喜びあう彼らを店主は見ていた。

「うーむ、この材料なら、あれをこうして・・・うん。今から俺が言った通りに動け」

はい、と皆で返事をする。
まずは山菜の下準備。余分な葉やトゲなどを取り、水でよく洗う。釜には充分に沸騰した塩水があり山菜を入れて塩ゆでする。

「湯がいたものは、まだえぐみが抜けてないかもしれないのですぐそばの川でしっかりと水洗いしてくれ」
「はーい」

皆で山菜を近くの川で水洗いする。店主は今日の作業はこれまでだと言った。

「あとはそれをドクタケ味噌にあえて半日置いておけば、餡は完成だ」

「えー、すぐできないんだ」

しぶ鬼が残念そうにぼやく。

「まぁ、漬けなきゃいけないしね〜」
「楽しみだなぁ」

ほのぼのと山菜を洗う彼らを見て、ふと店主は気になることを聞いてみた。

「お前達は、ドクタケ研修生と聞いたが、いずれはドクタケ城の人間になるのか?」
「はい。あ、でもあかやの店主さんはドクタケ大嫌いなんですよね」

「お前達も、あんな風になりたいのか?」

その質問に彼らはうーん、と考える。ドクたまの頭にはいつも失敗ばかりの能天気なドクタケ忍者隊と張り子の馬で部屋をかける城主が思い浮かんだ。

「なりたくないです!」
「僕ら、もっとしっかりしたまともなドクタケになりたいです!」

山ぶ鬼の言葉に店主は笑う。

「まともなドクタケか・・・それは楽しみだな」
「あかやの店主さん・・・」

彼らは顔を見合わす。もうあかやの店主はドクたまを恨んではいないようだった。
二度厨房にもどり、水洗いした山菜をドクタケ味噌に漬け込み、本日の下ごしらえは終了した。

 次の日、ドクたま達は早朝から開店前のあかやの店に来ていた。あかやの店主は今日は饅頭の皮を作ると、材料をすでに用意していた。

「よし、早速皮作りだ」

少量の砂糖を溶かし、そこに小麦粉と重曹を入れる。手でゆっくりとかき混ぜながらぬるま湯を入れる。手で何度もこねてひとつの固まりにしていく。ずっとこねていたしぶ鬼は疲れた〜とぼやく。

「もういいだろう」
「10分ぐらいずっとこねてたね」
「饅っぽくなってきたわ」

しばらく置いておくとふっくらしてくる。それを適量とり、平たく伸ばして昨日仕込んだ山菜の味噌漬けを入れて包む。全て包み終えたら蒸し釜を用意してしばらく蒸してようやくドクタケ饅頭が完成した。

「やっと完成だ」

ドクたまはほかほかに蒸された饅頭をみる。白い生地のつやつやした饅頭だ。ほのかに味噌と山菜の香りもした。彼らは笑顔にひとつ手に取り一口口にいれた。

「えっ・・・すっごくおいしいわ」
「うん。完璧だし、これでいいの?って思うぐらいなんだけど」

彼らはドクタケの失敗にいつも巻き込まれてしまっているせいか、今回見事と言うほど上出来なドクタケ名物を作ってしまったことに皆は戸惑っている。

「うまいじゃないか!」

あかやの店主も食べて満足そうに頷く。その時、あかやの店からとんとんと戸を叩く音がした。店主が開けると彼の商売仲間らしき者がやってきた。すこし話したあと、その男を連れて店主は厨房に戻ってくる。

「へぇ、あかやが新作を作ってるって話を聞いてきたら、この子達が作ったのか。キミたちはどこからきたんだ?」

ドクたまたちは答えようとして思いとどまる。ここはドクタケ領内の町とはいえ、ドクタケは嫌われているので、嫌な顔をされると思ったのだが、横にいたあかやの店主はすんなりいってしまう。

「ドクタケ城のたまご、ドクたまだってさ。忍者の勉強をしているらしい」

自分達のことは昨日、山菜をあらったときに話していたので店主も自分達のことは知っている。ドクタケ、と聞いた男は険しい表情見せた。

「ドクタケって、お前の一番嫌いなものじゃないか!どうしてこの子達に関わってるんだ?」

「だから、こいつらはドクタケとは違うよ。ドクたま、だ」

相手は笑顔すらみせる店主にとても驚いている。あのどがつくほどドクタケ嫌いの店主も心を許すのだ。男は彼らは今のドクタケとは違うものなのだと思った。

「ドクタケ城イメージアップのために、あかやさんに協力してもらって、この饅頭を作ったんですよ」

いぶ鬼が饅頭の半分を男にやる。一口食べると男の表情はパッと変わった。

「これはいけるな!おやつにも飯にも、酒にも合いそうだ!こんなうまいもんをこの子達がつくるなんて・・・」

そうだ、と男は彼らにある提案をした。店主とドクたまがその話を聞く。男の意外な提案に、皆は顔を見合わせて、にやりと笑った。




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