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「なんかさぁ、最近山ぶ鬼と春鬼、いつも一緒にいないか?」

いぶ鬼とふぶ鬼の部屋に遊びに来たしぶ鬼は二人に 何気なく聞いてみた。いぶ鬼はしらないの?としぶ鬼にその理由を答える。それはドクコレについての企画をあの二人が中心に行っていること、そこに企画に栄えた町で評判の着物屋の店主を呼んでいることを伝える。

「へぇ、山ぶ鬼と春鬼がねぇ。んでそのドクコレはいつなの」
「明日だよ。だから最近は朝から晩まで一緒に打合せしてるみたい。くノ一のためとはいえ、春鬼も巻き込まれて大変そ〜」

彼らがそんな会話をしていた次の日、昼からドクタケ城の敷地内の平野にてついにドクコレの開催の花火の空砲が鳴り響く。普段はなにもない平野だが今回はドクタケ忍者隊が設営した舞台や控え室等があり客席には御座が敷かれてある。しかも屋台なんかも出ていて、意外にも大がかりな設営に様子を見に来たしぶ鬼、いぶ鬼、ふぶ鬼と今回遊びに来ていた伊助も驚いている。

「ドクタケって変なところ気合いいれるよね」
「この前の出城よりもしっかりしてる気がする...」

「やぁ、探したよ皆!はやくこっち来てくれ!」

舞台裏からりんが慌てたようにやってくる。彼女は彼らを押し流すようにして舞台裏へと連れてきた。そこには山ぶ鬼とファッションデザイナーである辻村がいた。突然連れてこられた彼らが困惑してるなか、辻村が両手を合わせて拝むようにして頭をさげた。

「君たちにもモデルをお願いしたい!」
「えぇ!?」

そのお願いに思わず声が上がる。どうして自分達がモデルをしなければならないのか。辻村は大量の風呂敷にいくつも包んだ着物をみせる。その数は膨大だった。

「いやー、モデルを元にして作ったらこれがえらいたのしくってなぁ、イメージもどんどん浮かんでくるわでぎょうさん着物つくってしもうたんや。というわけで君たちにもモデルをたのんます」

いぶ鬼はその着物を物色する。どれも女物なのでまさか...と辻村に聞いた。

「僕たちに女の子になれっていうの?」
「すんまへんなぁ」

がっくりと肩を落とす男子達。男が女物を着てまわるファッションコレクションなどだれが喜ぶのだろうか。始まる前から行き先が不安になる。

「まぁ、皆結構可愛くなるんじゃないか。辻村さんのプロデュースだし」
「春鬼、他人事だからって適当なこと言うなよなー!」 

ぞくぞくと兵士や忍者隊が集まる。そして最後にはなんとドクタケ城城主木野小次郎竹高も姿を現した。隣には八方斎もおり、即席の台座へと腰かけていた。それを見たドクたま達は驚いた。

「竹高様もいらっしゃってるよ」「こういうの好きそうだしね」
「わしの評判も一城の城主が注目することってこっちゃな!ははは」

そうしているとドクコレの開催時刻になる。今回の司会は山ぶ鬼、裏方の指揮はりんになっている。長年ドクタケにいる山ぶ鬼は忍者隊や兵士でも顔見知りが多く、明るい司会ぶりで会場を賑やかにする。

企画の流れはドクタケくノ一が中心で、裏ではほぼドクタケ全員のくノ一が着物を着てスタンバイしている。表舞台にでている司会山ぶ鬼と解説の辻村が進行し、そして裏方のりんがくノ一達をまとめて進行どおりに行くように指示をすると言う案配だ。

挨拶が終わったようでついにお披露目会が始まる。表では笛と太鼓が鳴り始めている。それに合わせて順番どおりにくノ一達を誘導する。辻村の衣装はどれも美しい。庶民に合わせた小袖姿が多いが人によっては艶やかな着物の上着になる打掛もある。モデルに合わせた色や紋様や着こなしはくノ一達の魅力を増し、兵士や忍者隊の男達もうっとりと良い気分になっていた。それを見ていてますます嫌がるのはドクたまの男子達だ。

「ドクタケくノ一、すごくきれいなのは良いんだけどさぁ、この浮かれた雰囲気のなか、殿様の御前で僕たちが出るのってまずくないか?」
「ブーイングの嵐かも」
「それが殿様の癪に障って・・・切腹しろとか!?」

最悪の事態を想像して青ざめる男子達。一方で表の方は大いに盛り上がっており、それが余計に彼らの恐怖をあおる。そんななか、裏方を勤めているりんが着物をもって駆けてきた。それぞれ着物を渡し迅速に着替えろと言ってくる。しぶ鬼は春鬼に泣きそうになりながら言う。

「僕達まだ死にたくない」
「なにいってんだ。早く着替えてくれ。俺がさっと髪を結って女の子らしくしてやるから」
「うぅっ、こうなったらどうなっても知らないぞ!」
「大丈夫だよ。責任持つから」

こうなりゃ自棄だと皆は小袖に着替えて髷をおろしりんに髪を垂髪に結ってもらう。着替えて整え終わった彼らを見てりんは苦笑いする。

「似合ってるよ。猿にも衣装ってやつだな」
「僕たちが猿かよ」
「バカにしやがって・・・」

準備をしている間に他のドクタケくノ一達はみんな発表し終わったようだ。りんが彼らを見ると誰が先に前に出るか、激しく言い合っていた。

「ここはリーダーのしぶ鬼が出るべきだよ」
「あっ、都合の悪いときだけリーダーって言うな。この着物は伊助の染めたものだろ?先行けよ」
「ぼくは部外者だよっ」

誰も表に出ようとしない男子達にため息をつくりん。言い合いに夢中になっている隙をついてりんは思い切り皆を押した。突然背中を押されたので流されるように全員が表へ出てしまう。
情けない声が上がって表舞台に出ると一斉に視線を浴びる。皆は恥ずかしそうに立ち上がりにこりとぎこちなく笑う。まわりはその人物が何者なのかじっと黙ってうかがっている様子だった。

「次に登場しましたのはドクたまのかわゆーい「女の子」でーす」

山ぶ鬼がそう言うとその正体を知った観客にどっと笑いが湧いた。拍手なんかもあちこちでしている。

「かわいいぞ〜!」

そんな掛け声を受けながら舞台をまわりそのまま裏へ戻る。役目を終えた彼らはほっと安堵した。りんがお疲れさまとやってくる。

「伊助も協力してくれてありがとう」
「ほんと驚いた。でもうけてくれてよかったね」
「まったく、春鬼と山ぶ鬼、今度なんか奢れよな」

そんな会話をしていると奥から辻村が衣装をもって現れる。りんは首をかしげた。もうモデルは全員出場したはずだ。なのに何故彼は衣装をもっているのだろう。そう思っていると辻村は山ぶ鬼を呼び戻してほしいと言ってきた。



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