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その後、りんときり丸は出来た夕飯を運びに武士の集まる部屋へ行く。彼らは恐らくオニタケ忍者ともここで会っているはず。御膳を並べ終わるとりんはとある男に呼び止められる。
「新入りか!ほら、ここにこい」
「そんな、お武家様のおとなりなど、失礼でございます」
りんは頭を下げてちらりと男の顔を見る。きり丸の言ったように中年の目が垂れた男。既に酔っぱらっているらしい赤い顔をしている男は自分の隣を指差した。
「よいではないか。ほら、酌をせい」
仕方なくりんは隣に並び男の杯に酒をついだ。男は集まってきた武士達に言う。
「今回我々が集まったのは新型爆弾の件だ。我が城で開発されたこの爆弾を敵対する城、ドクタケ城との戦で使用し、威力の程を測らねばならない」
その言葉にりんは息をのむ。オニタケ城とドクタケ城は敵対関係だ。オニタケ城はこちらに戦をしかけ、新型火薬の威力調査をするつもりらしい。
「そして、爆弾が成功すればゆくゆくはオニタケ城へも攻め混む準備はできておる・・・」
首をかしげたのは共にやって来たきり丸だ。なぜオニタケ城が自分の城を攻めるなどと言うのだろうか?まさか・・・とりんはひとつの可能性が浮かんだ。
「我々キョウチク城の武士として、この計画は必ず成功させ、君主に報いるのだ」
「ええっ」
小さく声を出したのはきり丸だ。それはりんも含め、彼らはここがオニタケ城の武士達が集まる会所だと思っていた。実際はオニタケ城ではなく最近現れたキョウチク城であったのだ。
(あの地図、間違ってたんだ・・・)
それを知って、落ち込むりん、そう落ち込んでもいられない。なぜならキョウチク城の目的はドクタケ、オニタケに新型爆弾を使用した戦を仕掛けてくると言うことだ。戦は絶対に避けねばならない。この事を早くドクたまに知らせねばと思った。しかし・・・
「お主、どうした?」
「い、いえ・・・私仕事がありますので、では、失礼します」
「まてまて、お前の仕事は某の相手であるぞ。ほれ、側におれ」
立ち上がろうとするりんをぐいと引き寄せる男。撫でるように手を捕まれりんは凍りつく。きり丸の言う通り、女好きなようだ。
その後は酌をさせられ続け、肩や腰などに触れてくるのをりんは表面上は笑顔でかわしていたが腹のそこでは煮えくり返るほど怒っていた。しかしその新型爆弾のありかがどうしても知りたい。りんはしばらく男の相手をして何気なく聞いてみる。
「新型の爆弾なんて、おそろしいですわ。今もこの屋敷にあるんでこざいます?」
「ふふふ、ある。気になるか?」
「下女達が間違えてしまうと心配ですから」
男はにたりと気味悪く笑う。そして熱っぽい視線をりんに向けた。
「夜、わしの元に来たら、教えてやらんでもないぞ」
「え・・・」
夜に男の元へ行く。それはりんでも意味はすぐにわかった。心のなかでは即答で断っていたが、爆弾の情報はとてもほしい。りんはその男の出した条件に返事もせず黙っていた。
「その気になったら夜に某の部屋へくるがよい・・・」
そうして食事を終えたりんときり丸は空になったら食器を片しに運ぶ。厨房にはドクたまと乱太郎、しんべヱが待っていた。二人は彼らの顔をみてホッとした。
皆で食器を片し終わり、きり丸とりんは得てきた情報を話す。
「ええ!?ここはキョウチク城の屋敷だったの?」
ドクたまと乱太郎、しんべヱたちはふぶ鬼の取り出した地図を開く。
自分たちは確かに記しされている屋敷へ来たはずだが…。
「あれ?ぼくたちはもらった地図をさかさまにしてたみたい〜」
と乱太郎としんべヱは自分達がもらった地図と比べて笑う。ドクたま達も穴太に渡された地図をみてあっといぶ鬼が気づく。
「もしかしてここの屋敷の奥が本来のオニタケがいる武家屋敷だったんじゃない?」
「ほんとだ…穴太部隊長、間違えて印したんだ」
成績のかかっている女装試験も兼ねたこの任務、始まってすらいなかった事実に彼らは頭を抱えた。
しかし、そもそも女装もきちんとできていないので結果は同じだろうな、とりんは思う。
それよりも問題なのは今後の行動についてだ。確かにみんな目的のオニタケ城にはたどり着けなかったが
代わりにキョウチク城の目論見を知ってしまった。しかもドクタケ・オニタケが標的だとわかればドクたまも忍術学園も
無視などできない。
「キョウチク城も新型『爆弾』をここのどこかに隠しているんだよね?」
ふぶ鬼の言葉にしんべヱが手を打った。
「そいつを見つけて全部爆発させちゃわない?この屋敷ごと!」
「たまに過激だよな。しんべヱって」
笑顔で大胆なことを発現するしんべヱに人知れずドクたまは恐怖したが、提案自体はりんは賛成である。
その新型爆弾がなくなればキョウチク城の勝算は薄れ、戦も起きないかもしれない。
「僕は賛成。みんなはどう?」
しんべヱの案にしぶ鬼が同意し、ドクたま達に振る。彼らはリーダーのしぶ鬼がいいというのなら従うと頷いた。
乱太郎達も協力すると言い、この作戦はドクたま、忍術学園でタッグを組み行うことになったのだ。
「じゃあ、俺ときり丸があの武士のおっさんに近づいて情報を集めるとして…」
「私たちは下女をしながら屋敷を探る!」
きり丸が重い溜息をつく。乱太郎はその様子に気づき、彼に問いかける。
「きり丸、なんかしんどそうだね?」「だってさぁ…」
ちらりときり丸はりんの方を見る。きり丸の言いたいことはすぐに分かった。
「色ボケおっさんの相手すんの、疲れるんだぜ?なぁ春鬼?」
「まぁね…」
仕事だと割り切っているものの、しつこい誘いを受けたり、体を触ってくるあの男を我慢しあしらうのは大変であった。
りんは事実女性であるため嫌悪はすさまじく、何度か拳が出かけた。しかしそれは男であるきり丸も同じであろう。
心配はさせまいとりんは黙っているつもりであったが、きり丸に投げかけられてつい答えてしまった。
「でもあいつは大事な情報源だ。俺の事は気にしなくていい」
「春鬼…」
ドクたまは彼女の言葉を黙って聞いていたが、しぶ鬼は気丈に振舞うりんを察し、俯いた。
「それに、爆弾の情報も、手にはいるかもしれない」
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