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「?」

急に座り込んだしぶ鬼をいぶ鬼が不思議そうに見る。手に持っているのは見慣れない炮烙火矢に似たちいさな火器のようなものだ。

「これ、例の爆弾。使っちゃおうぜ・・・」

皆が驚いてその爆弾を見る。武士や兵士たちが恐れるほどの新型爆弾。それを容赦なく使おうとしぶ鬼は悪い笑みを浮かべながら言う。

この手のひらでおさまるほどの大きさであれば火薬の量は少ない。威力はないと思ったりんだが一体どんなものだろうと、ふと好奇心がわいた。

「俺たちが逆にキョウチク城で新型爆弾の威力調査するなんて・・・」

笑いをこらえるきり丸。他からもやったれやったれ、とちいさな声がコールした。

しぶ鬼達は静かに厨房から離れ、茂みに隠れてその爆弾の1つに火をつけ厨房の窓めがけて投げ込んだ。

「ん?なんか入ってきたぞ」

窓から入ってきた謎の物体に男達は灯りを近づける。そしてその物体が新型火薬と分かるとわっと慌てて勝手口から出ようとした。

「戸が開かないー!?」

勝手口は皆がつっかえ棒で開かないように細工しておいたので、彼らは必死に開けようとしても開くはずはない。その姿にドクたまと乱太郎達は笑ってしまう。そして地が揺れるような大きな爆弾音がした。

「爆弾したぞ!」
「・・・うわ!なんだこのにおい・・・」
「目が痛いよ〜!」

離れていてもあまりの激臭に皆倒れこむほどの威力。それは忍者でも使われる「臭瓶」そのものであった。本来なら臭瓶は小型の壺に入っており、投げ込んで使うものだ。新型爆弾とは臭瓶の材料を詰めた火薬弾のことだったのだ。

「厨房から声がしなくなったね」

とても嫌だが皆で近づいて勝手口を開ける。辺りは丸焦げになっており、黒い煙がぼわっと勝手口に流れた。激臭も強くなる。

「無理!」

一瞬で離れたドクたまと乱太郎達。しかし戸を開けても男たちがやって来る様子はない。煙が消えて皆が中を覗くと爆弾とあまりの臭いに武士達は気絶していた。

「まさに必殺。恐ろしい爆弾だ・・・」

りんの言葉に彼らも絶句する。
・・・が、しんべヱはいつも通りの様子で話す。

「まだ、爆弾はあるんでしょ?今ならこの屋敷を破壊できるんじゃない?」

そんなしんべヱの言葉にドクたまは青ざめる。

「この威力をみて怖じ気つかないのがすごいよ」
「・・・でも」

やっちゃおう!と皆でしんべヱの提案に賛成した。その後のドクたま達の動きは早かった。屋根に上り敵のいる場所へ爆弾を投げ込むと建物の爆破と共に武士達はどんどん臭いで倒れていく。

そして明け方には屋敷は木っ端微塵に破壊され、辺りには臭いに気絶した武士達が散らばっている光景が広がっていた。

こうしてキョウチク城で目論んでいた新型爆弾でドクタケ城とオニタケ城を攻めようとした作戦は、彼らによって阻止されてしまったのだった。

武士の全滅を確認した彼らは屋敷だった場所を離れて小道を歩く。その分かれ道にたどり着いて、乱太郎達は立ち止まった。

「じゃ、私たちはオニタケ城に事情を報告するからここで別れるよ」

乱太郎がドクたまに言う。しぶ鬼が包みを彼らに渡す。

「これ、例の爆弾。証拠になると思うからひとつ持ってなよ」
「しぶ鬼、ありがとう」

りんは敵である忍術学園にそんな情報を持たせると不利になるのではと思ったが彼らは互いの立場などまったく気にしていないようだった。

「僕たちも、ドクタケ城に結果を報告しなくちゃ」
「まちがってキョウチク城に来ちゃったこと、成績に響くのかなぁ〜」

いぶ鬼の何気ないぼやきにぎくりとするしぶ鬼とふぶ鬼。しかし元はと言えば大黄奈栗野木下穴太の間違いが原因なのだが・・・。

「ドクたまも大変だね。でも・・・一緒に任務ができたこと、結構楽しかったよ!」

乱太郎の言葉にきり丸、しんべヱも頷く。りんはそんな忍たまとドクたまをみて、将来のことをふと考えた。この二つの組織が和解する未来を、想像したのだった。

「春鬼も、見た目堅そうだけど、いい奴じゃん。ま、ドクたまはこんなんだから、こいつらのこと頼んだぜ」
「春鬼、今度学園に来なよ。食堂のおばちゃんの料理美味しいんだよ!」

しんべヱの誘いにドクたま三人は春鬼を隠すようにする。

「だめー!春鬼が忍術学園に行きたくなったら困るじゃないか!」
「ははは、大丈夫だって」

そんな会話をして乱太郎達と別れる。日は徐々に登り始めており白んだ空も青みがかっていた。今日も晴天。結果、任務には失敗したが、彼らの気持ちは不思議と晴れやかだった。


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