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りんは黙って先頭を歩き、竹高を護衛しながら城への道を進んでいく。辺りは夕暮れ、城につく頃には夜が更けているだろう。今日一日あったことをふわりと考える。

それは後ろにいる竹高のことだ。りんは今まで竹高との面識はとても薄かったのだがこのように護衛として同行して、彼という人物を垣間見ることができた。

ドクタケ城は戦好きの悪い城と言われ広まっているその城主。木野小次郎竹高。普段はこどものようなわがままな姿が目立つが、どこか鋭い。今回の海が見たいと言うわがままも、裏切った者に会いに行くための者だった。こうして今日一日は一緒にいたが結局のところ、竹高という人物はやはりつかみどころがない者だった。

「のう、春鬼」
「はい」

竹高に呼ばれ、りんは立ち止まり彼の方へ振り返る。

「ドクタケに来る気はないのか?」
「・・・私はその為に来ていますが」

竹高の鋭い瞳がぬらりとひかる。その眼差しにりんはゾッとした。全てを見抜いているかのような視線にりんは急に不安になった。

「おぬしが来れば、ドクタケ忍者も変わるであろうな」
「・・・」
「その気になればいつでも来るがいい。わしは春鬼が気に入った!」

笑いながら竹高はりんの前を過ぎていく。その背中をみて、りんは竹高には到底敵わない存在だと悟った。
きっと竹高にはすべての事情が見えているのだろう。

「気に入ったものは何でも手にいれねば気がすまんのじゃ。覚悟しておれよ」
「・・・えぇ?」

不穏な一言を残して再び歩き始めた竹高。
ふと自分は考える。確かに自分は里の試験でドクタケ城に研修生としてやってきた。はじめは戦好きな城と聞いて正義感の強いりんはドクタケを毛嫌いしていたが、こうして実際に潜入してみると確かに彼らはあくどいがすべては失敗に終わっているおかげで毎日は退屈しないし、ドクたま達との研修もいままでない充実感を感じている。

だからふと考えてしまったのだ。このままドクタケにいてもいいかもしれないと。

(ってそれはダメでしょう。なにを考えてるんだろう私は)

この試験も約束の3か月目まであとわずかである。こんな調子では試験は合格しない。
深呼吸して気を取り直し、りんも歩き始めた。

──そう、この暮らしももうすぐおわる。
なんとか無事に戦をせずに過ごさねばならない。このときりんはドクタケのことばかりを気にしていた。
しかし、彼女の正体が明かれてしまう事態も、もうすぐ迫って来ていることをりんは気づけるはずもなかった。

殿様を護衛しろ ー完ー


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