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夕食時も終わり、辺りは日が暮れてすっかり夜になっている。空は高く満月が照らし、ほのかに明るい。
大黄奈栗野木下穴太はそんな夜空の下、ドクタケ城の敷地内を歩いていた。彼はいつも考えていたことがあり、その真実を確かめようとひとりひっそりとある部屋へと向かっていた。

ドクたま達の部屋に着き、辺りの様子をうかがう、彼らはまだ研修中らしくみんな部屋にはいない。穴太はすばやくしぶ鬼とりんのいる部屋へと忍び込んだ。

なぜ自分がこんなところでドクたまの部屋を調べているのか、それはある事件から彼は春鬼という存在を怪しんでいたからである。春鬼は優秀な忍びである。研修生でありながらあの忍者隊首領の八方斎にも一目おかれる存在。穴太も実力は認めているが、彼が来てからのドクタケ忍者隊は少し様子がおかしい。あの戦好きな八方斎が政策を練り攻めようとしかけると必ず春鬼が意見する。春鬼に取り入れられている八方斎はここ最近戦をすることはない。

さらに気になるのはドクたまで作らせた出城の一件だ。
出城そのものに問題はなかったが、なぜドクタケの出城ができたことを忍術学園のものがあんなに早く察知することが出来たのだろうかずっと疑問であったのだ。
浮かぶのはやはり春鬼の存在。もしかしたら彼はどこかの城の回し者、忍術学園から派遣された偽物の研修生であるのではないかと怪しんできたのだった。

「私の勘違いならそれでいいのだが・・・」

部屋の中へ入る。今夜は月が出ているので辺りの様子がぼんやりとわかる。室内をおそるおそる歩くと手前にはドクたまの友が転がっていた。どうやらここはしぶ鬼の敷地らしい。大事な忍法書を見えるところに起きっぱなしにするしぶ鬼にあきれつつ、穴太は衝立を跨ぎ奥の部屋へと進むと片付いたりんの部屋をみる。
物を置かず部屋のすみに小さな風呂敷の荷物がひとつ、置かれてあるだけだった。

「さて、春鬼くんすまないが調べさせてもらうよ・・・」

その荷物の前に屈み、風呂敷を開ける。そこにはいくつかの替えの服や携帯忍具が包まれている。しばらく探ってみたがなにもなさそうだと思い、風呂敷を戻そうとした。

「やはり私の勘違いか・・・おや?」

一着の羽織からかさりと音がする。なんだろうと開いてみるとふわりと小さな紙が落ちた。黙ってその紙を開くとそこにはりんの里の長である小柴という者がりんに与えた指令書が入ってあった。そこには具体的な内容はかかれていなかったが、文章の中に「研修生としてドクタケに潜入」という言葉がかかれており、穴太は目を見張った。

「この里からドクタケに研修にきたのではないのか?ドクタケに潜入だと・・・」

穴太は黙ってその紙を懐にいれる。そのまま片付けもせずすばやくその場を立ち去った。この書を八方斎にみせなければならない。彼はおそらくドクタケに潜入し戦をさせないようにさせて内部を混乱するのが目的だろうと穴太は推理した。

「八方斎さま大変です!」

八方斎の自室の前で穴太は声をかける。八方斎の声がして中に入りあわてて彼のそばにかけより紙を見せる穴太。

「これを見てください!」
「なんだ・・・これは。指令書のようにも見えるが・・・」

八方斎はまじまじとその書を黙読する。そこには知らぬ人物の名前と忍者の里の名がある。
そして穴太と同じく「ドクタケ城に潜入せよ」とかかれた文言をみて唸った。

「この里の名は春鬼の所であるな」
「春鬼というものは研修生と偽りドクタケを内部から混乱させるつもりでしょう」

八方斎は穴太の言葉に思い当たる節がいくつかあった。りんがきてからたしかに戦はしていない。そのきっかけはすべてりんの判断であったと思う。まだドクたまと同い年であるあの春鬼が自分を取り入れていたことに敵ながら感心した。にやりと八方斎は笑う。

「若いのにワシを手玉にとるとはやるな・・・。だがそれももうこれまでだ。穴太、皆を会議室に集めろ」

八方斎は穴太にドクタケ忍者とドクたま達を呼び集めるように言う。その数時間後、会議室に集まったドクタケ忍者数名とちょうど研修を終えて帰ってきたドクたま全員。八方斎の前にドクたまはたっていた。彼らは朝とは別に再び八方斎に呼ばれたことに不思議がっている。

「なんだろ、ドクタケ忍者も何人か集まってるみたいだ」
「任務かしら」

ふぶ鬼と山ぶ鬼はそんなことを話していると八方斎が口を開く。

「皆の者。重要な話である。今回集まった我らドクタケ忍者のなかに、くせ者がいることがわかった」

ざわつく会議室。一枚の紙を読む。

「これはとある里の指令書。この指令書は現在ドクたま達が研修に来ている者と共にやってきた、春鬼の指令書である」
『春鬼の!?』

ドクたまの全員がそのよく知った人物の名前を揃えて言う。
里の指令書が春鬼から見つかった。それはつまり、春鬼はこのドクタケ城に送られた間者ということになる。彼らは黙って顔を見合わせた。きっと春鬼がいままでずっと隠していたものはあの指令書についてだと思った。



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