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八方斎は続けて言う。くせ者が入ってきたとあらばドクタケは容赦はしない。

「奴は研修中、我々の勢力拡大し妨害し、さらにあの忍術学園と協力した形跡も見られる。目的はおそらく我々を内部から混乱させ、城そのものを弱体化させるつもりだろう。奴を見逃すわけにはいかない。そこで私から命令だ」

彼らは黙って八方斎の命令が下るのをまつ。八方斎は無表情で一言だけ放った。

「春鬼を殺せ」

ドクたま達もその命令を黙って聞いた。八方斎は現在りんは研修を終えこちらに戻っている最中だと言う。ドクタケ城に戻ってきたら城に閉じ込め袋叩きにしようという作戦内容を語る。会議は終了し、ドクタケ忍者隊はそれぞれの持ち場につき春鬼を倒すために準備をはじめようと会議室を出ていく。残ったドクたま達は八方斎を見ていた。

「お前達、春鬼は敵だ。ドクタケ忍者としてかならず春鬼をしとめるように」
「はい」

しぶ鬼はリーダーとしてうなずく。そのまま彼は会議室をでていくので他の三人も黙ってしぶ鬼の後をついていった。八方斎の命令を聞いたドクたま達は全員でしぶ鬼の部屋に集まった。

「春鬼はまだ帰ってないみたい」
「八方斎さまが言ったことだけど、春鬼は本当に悪者だとおもう?別の目的があるようには見えるんだけど」

いぶ鬼の考えにみんなもうなずく。あの春鬼がドクタケを窮地に落とすようなことはしないだろう。たしかに戦をさせないようにはしていたとはおもう。それはもっと別の理由があると彼らは踏んでいた。

「でもしぶ鬼、本当に春鬼くんを倒しちゃうの?」

先程からずっと黙っているしぶ鬼はふと言った。

「・・・みんなで春鬼を逃がそう。きっとあいつはドクタケ城に帰ってくる」
「でもいいの?八方斎さまに逃がしたことがばれたら・・・」

春鬼を逃がすことはみんな異論はない。しかし起こりうる問題を懸念することがあるといぶ鬼は不安そうだ。しぶ鬼は「春鬼を殺せ」と言われた時からずっと作戦を考えていた。ドクたまはいつものように輪を囲み、顔を寄せ合う。

「みんなで春鬼を襲うふりをして城の外へ誘導させるんだ。僕たちには乱きりしんに会うために秘密の抜け穴があるだろ?」
「なるほどね・・・でも・・・そうしたらしぶ鬼、あなた喧嘩別れになっちゃうわ」

山ぶ鬼の言葉にみんながしぶ鬼にを心配そうに見つめる。
彼は一瞬悲しそうな表情をしたが、すぐにそれは隠した。

「いいんだ。あいつが死んじゃったら、それこそもう会えない。僕たち、いつも春鬼に助けられたじゃないか。今度は僕たちが、春鬼を助けなきゃ」

改めて四人は作戦会議をする。りんを助けるためみんな真剣にしぶ鬼の作戦を聞いていた。すると戸の向こうで声がしたので彼らはぱたりと黙る。

「私です。魔界之小路です」
「・・・魔界之小路先生?」

その聞きなれた声に、彼らは顔をあげた。


一方その頃、りんはドクタケ城に戻るために駆け足で野道をかけていた。なぜ自分が走っているのか、それは先程から何者かの視線を感じるからだ。その気配はぴったりと張り付くようにりんを追っている。
その正体が気になったが、今は城へ帰る方が先決だとあえて相手と対峙することはしなかった。

野道を越えると、ドクタケ城が見えた。夜も暗いが、ドクタケ城には明かりが灯っている。ようやく帰れると再び走り出そうとしたとき、つけてきた者と、道端の松の木の後ろから人影が現れた。

「・・・ドクタケ忍者?」

その赤い忍者服にりんは首をかしげる。なぜドクタケ忍者が研修生の自分などを追いかけているのだろう。
二人は刀を抜いてりんを挟み撃ちにした。二人は自分を狙っている。彼女はすぐにその理由が理解できた。
自分が狙われる原因など、ひとつしかない。

「春鬼、ドクタケに入り込んだ曲者としてお前を始末する!」
「やっぱり・・・正体がばれてしまったのか」

ドクタケ忍者のいい放った言葉に、りんはとっさにくないを構える。後ろと前から走ってくる敵に刀を向けられ寸前でりんはその場に屈み二人まとめて足払いをする。走った勢いの残る二人はとつぜんしゃがんだ相手に止まれずその足払いに引っ掛かり倒れ込んでしまう。ついでに刀も落としてしまったのをりんは見逃さずとっさに敵の刀を奪い取り、りんはドクタケ城へと向かおうとして立ち止まる。

「でも・・・みんな私を狙ってるはず。ドクタケ城へ行くとやられてしまうかもしれない」

そんなことを考えてりんはドクタケ城へ戻ることを躊躇う。しかし、ドクタケ城にはドクたまもいるはずだ。ドクタケのやり口ならおそらくドクたまも自分を倒すように命令されているだろうと思う。彼らは自分を襲うだろうか?りんは朝の言い合いの出来事を思い出す。

「・・・いや。きめたんだから。ちゃんとしぶ鬼に話すって」

いままで過ごしてきた日々や、皆の言葉を思い出す。彼らは自分が何者であるかなどは一切聞くことはなかったのだ。ただ仲間として、自分にはないことをたくさん教えてくれた。その気持ちに自分も答えなくてはならないのだ。きっと、彼らは自分が戻ってくるのをまっているはず。

「いかなきゃ!」

そうしてりんは再び駆け出す。彼らの待つドクタケ城へ。大切な人たちへ、真実をつたえるために。

`研修生を引きとめろ ―完―

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