旅路の果て

やがて怪我人の手当も終わり、船の掃除を終えたシャンクス達は甲板に集まった。

「皆のお陰でユリア達は無事だった。ありがとうな」

シャンクスの言葉に皆、シーンとなるが、すぐに騒ぎだす。

「お頭、何だよ改まって!そういうキャラじゃないだろう!」
「何だと、お前ら!人が真面目に言ってんのに!」

皆、笑っている。
シャンクスも、そう言いながらも笑っている。

「あの・・・・・・俺達なんかの為に本当にありがとうございます」
「怪我までさせちゃって、すみません!」

ユリアとマコトは頭を下げる。

「いいんだよ!俺達、仲間だろ!」
「俺達は好きでお前らの為に戦ったんだ!怪我なんか大した事ねぇよ、気にすんな!!」
「皆・・・・・・」


ヤソップ達の優しい言葉に、二人は泣いた。


「お前ら泣かすんじゃねーよ、せっかくこれから宴会だってのに」

シャンクスが口を尖らせる。

「いじめたわけじゃねーぞ!人聞き悪い事言うな、お頭この野郎!」

シャンクス達のやり取りに、ユリアとマコトに笑顔が戻る。

船上で宴会が始まると、いつもの賑やかな日常に戻った。

ユリアとマコトは端に座っているベンの所に行き、ベンの両隣に座る。

「どうした?」

不思議に思ったベンが話しかける。

「今日はありがとうございました」
「怪我までさせちゃって・・・・・・」

改めて礼を言う二人に、ベンは笑みを浮かべる。

「気にするな。俺達は当たり前の事をしただけだ」
「・・・・・・皆のお陰で、やっと前に進む事ができます」
「これからはお前達がしっかり生きていく事が、親と村人達の供養になるんだぜ」
「はい」


二人の力強く頼もしい返事に、ベンは感心しながらも安心する。

「ユリアは、お頭の面倒もしっかり頼むぞ」
「えっ!?」

ベンの頼みにユリアは驚き、その表情にベンとマコトは思わず笑う。

「俺達にはできない事や言いづらい事が、お前ならできるだろう」
「お頭は子どもっぽい所があるし、そういう所も含めて頼むぞ」
「分かった・・・・・・」

二人の言葉にぐうの音も出ないユリアは、少々戸惑いながらも承諾した。

ふとシャンクスを見ると、シャンクスは楽しそうに笑いながらお酒を飲んでいた。

シャンクスの笑顔は子どものような無邪気さもある素敵な笑顔だ。
あの笑顔と戦いの時や真面目な話の時なんかに見せる真剣な顔のギャップに魅かれて、彼の人間性や性格が好きになった。
あの時はあたしの誤解や一方的な思い込みで別れてしまったけど、今はまた戻れて良かったとシャンクスの笑顔を見ながら、そう思った。